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MicrosoftのAIセキュリティ新戦略「Project Perception」とは? 脆弱性を先回りしてふさぐ次世代の防御:Windowsフロントライン(1/2 ページ)

» 2026年07月21日 06時00分 公開

 Anthropicの最新AIモデル「Mythos 5」と「Fable 5」が、安全保障上の懸念から騒動を巻き起こしたことは記憶に新しいが、セキュリティ対策の面からMicrosoft内部で活用が進んでいる両技術への対抗、あるいはその延長線上にある技術が話題となっている。

 The Information誌が報じているが、Microsoftは7月中にも「Project Perception」と呼ばれるAIを活用したセキュリティ対策ツールの提供を計画しているという。

 今回はこのProject Perceptionと、その技術コアになっていると目される「MDASH (Multi Model Agentic Scanning Harness)」についてまとめたい。

MDASHとProject Perception

 The Informationを含む複数の報道によれば、Project Perceptionは2026年2月にMicrosoftのセキュリティ担当EVPに就任したハイエテ・ガロ(Hayete Gallot)氏の主導で行われているプロジェクトだ。同氏の下では、特に企業のITシステムにおけるバグや脆弱(ぜいじゃく)性の発見に役立つAIセキュリティ製品の開発を推進しているという。

 5月中旬にはMicrosoftから「MDASH」が発表されているが、Project Perceptionではこの技術をベースに、Microsoft DefenderやGitHub Code Securityなどの既存製品にも最新AIを組み込んでいく。

 もともとはMicrosoft内部での自社製品のセキュリティ対策への活用からスタートした技術(MDASH)を、今度は実際に商用展開へと結びつけていく動き全体を指していくことになる。

 まずはMDASHの動作に関する部分だが、一連の脆弱性(バグ)検証は“パイプライン”に沿って実行される。

 検証対象となるコードをパイプラインに通すと、まずコードの分析から検証に適切なAIエージェントが100以上の候補から複数選ばれる。ここで検証フェーズに入り、抽出されたAIエージェントによる多角的な分析が行われ、攻撃の可能性に関するエージェント間での議論や実際に攻撃を行うコードを作成するPoC(Proof of Concept)が実施され、最終的に誤検知(ノイズ)を除去した結果がレポートされる。

 一般に、従来のこの手のセキュリティ検証ツールにおける問題は大量の“ノイズ”がレポートとして報告されることでかえって検証を難しくするという点にあり、この精度を高めた点がMDASHの利点の1つといえる。

MDASHの実行パイプライン MDASHの実行パイプライン

 MDASHとProject Perceptionの関係性だが、MDASHは非常に強力な反面、100以上の専門AIエージェントを稼働させて検証を行うなど動作負荷(コスト)が重く、一般提供には費用対効果の面で厳しいという課題がある。

 そこでProject Perceptionでは「モデルルーター」と呼ばれる仕組みを採用し、高度な検証が必要な場面では複数ある“フロンティア”AIモデル(Opus、GPTなど)を呼び出し、定型処理などにはより動作の軽い“蒸留モデル(Distilled Model)”を割り当てることで全体の運用コストを下げる点が特徴だ。

 加えて、Project PerceptionではMDASHでの脆弱性レポートのみならず、Microsoft DefenderやGitHub Code Securityと連携して、これら製品のダッシュボードへの自動登録を行う。同時に開発者側の修正ワークフローに反映させる仕組みを備えており、企業のIT管理者がより扱いやすい形に整理されている。

 このようにMicrosoftのセキュリティ製品との連携を強め、複数のAIモデルを適宜組み合わせて低コスト運用を可能にしつつ、高い検証精度を実現するというのが、単一モデルで動作して汎用(はんよう)性を重視したAnthropicの「Project Glasswing」との違いと言えるかもしれない。

Anthropicの「Project Glasswing」 Anthropicの「Project Glasswing」

 なお、このMDASHやProject PerceptionをMicrosoft社内で活用した成果が既に現れているのではないかという指摘がある。Windows Latestの表が分かりやすいが、7月のセキュリティパッチ(Patch Tuesday)での修正数が570と、前年比で約4倍、先月比でも3倍弱と急増している(集計方法によって若干数字が異なる点に注意)。

 Microsoft公式でも言及があるが、同社自身がAI活用でWindowsのセキュリティ対策が大きく進展していることに触れており、攻撃者との“バトル”は既に別のステージへと移りつつあることがうかがえる。

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