お気付きかもしれないが、従来のセキュリティ対策が定期配布のパッチをあてつつ、侵入検知や防御機構の強化(壁の建て増し)に比重があったとすれば、MDASHやProject Perceptionでは「侵入口となる“穴”をAIを使って先にふさいでしまう」という“先回り防御”が主軸となっている。
これは、近年では攻撃者側もAIを使って“ゼロデイ”の脆弱性を発見し、先んじて攻撃のためのコードを作成してしまうという従来とのスピード感の違いにある。
これに関して興味深い話題がある。7月1日にZDNETでエド・ボット氏が「Do you still need third-party antivirus on your Windows PC?(あなたはまだWindows PC上でサードパーティ製アンチウイルスを必要としていますか?)」という記事を投稿しているが、ここで触れられているのはMicrosoftが公式サイトに投稿して後にすぐに削除された記事に関する話題だ。
Internet Archiveに残っている記事の内容を大まかに要約すれば、「多くのWindows 11ユーザーにとって(標準搭載の)Microsoft Defender以外のアンチウイルスは不要。求める内容によって必要に応じて追加すればいい」というもので、削除理由はボット氏の見解を引用するなら「サードパーティからの反発」「独占禁止法を恐れた」ということだ。
注目したいのはZDNET記事後半の解説部分で、「Microsoft Defenderなど、Windows 11周辺で提供されるセキュリティツールだけで対策は十分なのか?」「サードパーティ製セキュリティソフトウェアはいまだ必要なのか?」という問いに対するボット氏の回答は「どちらもイエス」と言及している点にある。
前者について、近年主流のアンチウイルス製品はその検出精度に大きな差はなくほぼ十分と呼べる水準に達しており、その観点でいえば「(Windows Defenderのような)標準の無料ツールで問題ない」という認識だ。
ただ最近の企業、特に多国籍企業をターゲットとした攻撃のほとんどは高度な犯罪組織によって意図的に行われ、前述のゼロデイ攻撃を利用したり、“サードパーティ製ソフトウェア”がその標的になっているとされる。エンドポイントを含めた広範なセキュリティ対策が企業組織には必須であり、その点で(有料の)サードパーティ製セキュリティソフトウェアも生きてくるという話だ。
Windows OSのアップデートに関しては、Microsoftからセキュリティパッチが提供されるので比較的安全だ。問題はむしろ“サードパーティ製ソフトウェア”で、特に自社開発や外部への委託で作成された“カスタム・ソフトウェア”の場合、Windowsや市販ソフトウェアほど頻繁なアップデートは期待できない。
おそらく、Project Perceptionのような事前修正ツールが活躍するのはこういったケースで、企業システムに存在する潜在的な“穴”をふさぐために広く活用されることになるだろう。
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