プロナビ

Mac miniから始まる「M6」世代――初の2nmチップと、超絶物量のMac Studioを読み解く本田雅一のクロスオーバーデジタル(1/4 ページ)

» 2026年08月26日 17時00分 公開
[本田雅一ITmedia]

 Appleは8月25日(米国太平洋夏時間)、デスクトップMac「Mac mini」「Mac Studio」を同時に刷新した。Mac miniには同社初の2nmプロセスで製造されるSoC「M6チップ」、Mac Studioには同社初のクアッドダイ構成のSoC「M5 Ultraチップ」が搭載されていることが注目ポイントだ。

 米国や日本を含む30カ国では発表直後から予約を受け付けており、9月22日(Mac Studioの512GBメモリ構成のみ10月下旬)に発売する。

 Appleによると、直近の四半期でMacの出荷台数は30%近い成長を遂げており、そのけん引役はオンデバイスAIだという。そして、このムーブメントの中心にあるのがMac miniとMac Studioで、今回の刷新も「AIニーズ」に応えた動きだ。

 M6チップはMac miniで先行搭載されるが、複数の報道によれば10月には「MacBook Pro」にも搭載されるとみられる。今回のMac miniは、これから数年のMacが歩むプラットフォームの最初のお披露目としても興味深い。

Mac Mac mini(左)とMac Studio(右)は、先代からボディーが全く変わっていないが、“中身”は大きく進歩している

2nmプロセスの先陣を切った「M6チップ」 なぜMac miniに?

 M6チップは、Appleとして初めてとなる2nmプロセスで製造されたSoCだ。このプロセスを用いることで、ダイサイズを維持したまま、全てのコンピュートブロックをアップグレードできたという。厳密にはダイサイズは変わったと考えられるが、「2nmプロセスの採用によってあらゆる回路ブロックに手が入った」と捉えればいいだろう。

 それにしても、なぜM6チップの“初陣”がMac miniとなったのだろうか。というのも、先々代の「M4チップ」はiPad Pro、先代の「M5チップ」はiPad ProとMacBook Proと、モバイル系の製品でデビューした。新プロセスの一番手が小型デスクトップというのは、近年なかったパターンである。

 今回採用した2nmプロセスは、まだ立ち上げ時期で供給量が限られ、歩留まりも成熟の途上にある。出荷規模の求められるMacBook Air(あるいはiPhone)のような製品に載せるのは厳しいだろう。その点、Mac miniは必要数量が適度で、しかもデスクトップゆえに熱設計に余裕があり、「世界最速のCPUコア」という看板を最も気持ちよく引き出せる。ランプアップの器として、これほど都合のいい製品はない

 もっとも、9月上旬に発表されるであろう新型iPhoneも、2nmプロセスのApple Aチップを搭載すると見られている。ゆえに「Apple初の2nm」という称号の賞味期限は、おそらく2週間ほどしかない。

 それでもAppleはこの看板をiPhoneではなくMacに先に掲げたのだから、「AI時代のMac」を重要な位置に置いていることを思わせる。

M6チップ M6チップは、Apple初の2nmプロセスで作られるSoCだ

3種のCPUコアを1チップに

 Mac miniに搭載されるM6チップのCPUコアは12基構成で、M5チップから2基増えている。ただし、その内訳は「スーパーコア(Sコア)2基+パフォーマンスコア(Pコア)4基+高効率コア(Eコア)6基」という、今までにない構成となっている。M5チップファミリーで登場した、3種類のCPUコアが全て使われている。

 M5チップファミリーは第3世代3nmプロセスなのに対し、M6チップは2nmプロセスで作られる。同じ設計のコアがそのまま“引っ越し”したわけではない。Appleのニュースリリースに「すべてのコンピュートブロックを進化させた」と書いてある通り、3種類のCPUコアには、それぞれ改良と最適化が加えられている。

 2025年10月に発表されたM5チップは、最大構成でPコア4基とEコア6基の10コアCPUだった。Sコアが登場したのは2026年3月に発表された「M5 Proチップ」「M5 Maxチップ」で、M5 Maxチップは最大構成でSコア6基とPコア12基の18コアCPUだった(Eコアは未搭載)。

 ややこしい話だが、SコアはM5チップにおけるPコアに相当する。「じゃあPコアは何物?」ということになるが、これはM5チップにおけるPコアとEコアの中間を取るような新設計の高効率かつ高性能なコアという位置付けだ。

 それぞれが「再設計されている」ものの、1つのダイに3種類のCPUコアを混載したのは、繰り返しだが今回が初めてとなる。Appleによると、マルチスレッド性能はM5チップ比で最大1.2倍、初代の「M1チップ」比で最大2.4倍となっている。

 性能改善自体は穏当だが、Mac miniという製品で見ると先代は「M4チップ」を搭載していたので、M5チップファミリーを丸ごと飛ばした2世代分の飛躍が乗る。

 Apple側の主張の妥当性は、3種類のCPUコアが混在する効果と合わせて今後実機でテストしたいところだ。

コア M6チップはSコア/Pコア/Eコアを混載している。M5 Max/Proチップ以降は、M5チップまでのPコアを「Sコア」と改めた上で、PコアをSコア(旧Pコア)とEコアの中間的な特性をもって新設計している(図は筆者がClaudeで作成)
性能 Appleが主張する「M4搭載Mac mini比で40%高速」というアピールは、計算上において正しい(図は筆者がClaudeで作成)
       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー