「iPhone Duo」は開けばiPad、閉じればiPhone? いいえ「別ジャンル」です──使うと見えてくる、Appleが考える「フォルダブルスマホ」の流儀:本田雅一のクロスオーバーデジタル(5/6 ページ)

» 2026年10月21日 21時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

アプリが「iPhone Duo対応」を進めるかどうかも鍵

 サードパーティーが開発したiOSアプリは、必ずしもiPhone Duo上で最適に表示されるわけではないことにも注意が必要だ。

 Appleが公開している開発資料によると、アプリの作成(ビルド)時に使ったSDKによって、表示できる画面範囲が変わるという。具体的にいうと、「iOS 26」以前向けのSDKで作られたアプリについては、従来の画面サイズでの表示を保つ。拡大表示も可能だが、縦横比は変わらず、周囲に余白ができることに注意が必要だ。

 一方、「iOS 27」以降向けのSDKで作られたアプリでは、大きな画面に合わせて画面パーツが再レイアウトされ、側面のステータスバー領域を自動で“避ける”よう振る舞ってくれる。さらに「iOS 27.1」以降では、表示範囲が隅々まで広がって、画面サイズを生かしやすくなった。

 「じゃあ、より新しいSDKでアプリをリビルドすればいいのか?」というと、そう単純でもない。表示はそれとなく対応できても、iPhone Duoのハードウェアを生かせるわけではない。開発者がSDK標準のパーツを素直に使っているなら、対応するためのハードルはそれほど高くないが、iPhone Duoへの“最適化”となれば、話は変わってくる。ヒンジの状態に応じてレイアウトを変えるなどの対応が進むには、一定の時間がかかるだろう。

 なお、App Storeでは10月5日からiPhone Duo向けアプリの登録を登録できるようになっている。また、2027年4月以降に提出するアプリやゲームには、iPhone Duo上でどのような表示になるのかを示すスクリーンショットの添付が必須となる。

 個々のアプリの品質を保証するものではないが、急速に対応が進むことは予想される。

 別途、執筆段階で確認されているDuo対応のアップデートに関してまとめておいたので、参考にしてほしい(一部予定を含む)。

その1 iPhone Duoに最適化される(予定の)アプリ(その1:クリックで拡大)
その2 iPhone Duoに最適化される(予定の)アプリ(その2:クリックで拡大)。なお、これらには記載していないが、Metaが提供する「Facebook」「Instagram」「Threads」の各アプリも最適化が実施されている

悩ましい「円安前提価格」と「Galaxy Z Fold8との価格差」

 iPhone Duoに関する“懸念材料”も伝えておこう。

 まず、発表以来の悩ましいポイントが「価格」だ。「これは欲しい」と感じている読者にとって、頭が痛い部分だろう。

 Apple Storeでの販売価格は、256GB構成が36万4800円、512GB構成が39万9800円、1TB構成が46万9800円、2TB構成が57万4800円となる。今回筆者が先行して試したのは512GB構成である。

 一方、ほぼ同じサイズのGalaxy Z Foldはどうかというと、直販サイト(Samsungオンラインストア)での通常価格は256GB構成が26万9880円、512GB構成が29万9880円、1TB構成が35万9980円だ。256GB構成で比べると9万4920円も安い。しかも、今はGalaxy Z Flip8の256GB構成は期間限定のセール中で、価格差はさらに開く。

 一方、米国では256GB構成の直販価格はiPhone Duoが1999ドル、Galaxy Z Fold8が1899.99ドルと、開きは100ドル程度にとどまる。

 日本の価格は税込み、米国の価格は税別(※2)ということを踏まえて、日本価格を1.1で割り、その商を米国価格で割ってみると、iPhone Duoは「1ドル=約166円」、Galaxy Z Flip8は「1ドル=約129円」というレートだ。これは販売価格から逆算した大ざっぱな「為替レート」となるが、これが日本での評価を大きく左右してしまうことは否めない。

(※2)米国の場合、消費税に相当する税の税率が州によって異なるため税別表記が原則となる

Galaxy 日本の場合、Appleの値付けも相まってiPhone Duoの割高さ(と、それに伴うGalaxy Z Fold8の割安さ)が目立つ

 もう1つ、筆者の周囲で聞かれたのが「iPhone 18 ProMaxと『iPad mini』を一緒に使う場合との違い」だ。

 Apple Storeで最小構成のiPhone 18 Pro Max(256GB構成:23万9800円)とiPad mini(128GB構成のWi-Fiモデル:9万9800円)を買うと、合わせて33万9600円となり、iPhone Duoの256GB構成を買うよりも2万5200円安い。iPad miniはA17 Proチップ搭載で、通信機能や容量までそろえた比較ではないが、大きな画面を得る“別案”としては現実的ではある。

 しかし、約249gのiPhone 18 Pro Maxと約293gのiPad mini(Wi-Fiモデル)を合計した重量は約542gにもなる。それに対して、iPhone Duoなら約254gと半分以下の重量で済む。かばんの中に大画面を入れておくためだけに、このiPhone 18 Pro MaxとiPad miniの両方を持ち歩くのは、正直に言ってあまり気が進まない。

 iPhone Duoなら、いつでも大画面を展開できる。問題は、違いにどれだけの費用を払うかという比較になる。

 加えて、iPhone Duoは純正のケース類が高価なのも悩ましい。ケースは1万4800円、スタンド付きのフォリオケースだと2万4800円となる。スタンドで立てる使い方を考えているなら、フォリオはAppleが提案するユースケースを実現する上で必要となる道具だが、これだけの値が張るのは悩ましい。

 万が一のための「Apple Care」も、毎月およそ2900円を覚悟しなければならない。

価格 iPhone Duoに関する悩みの多くは、価格に行き着いてしまう

 とはいえ、本体のサイズも悩ましい。iPhone Duoは閉じた場合の幅が約84.1mm、厚さは約11.3mmで、手の小さい人にとっては悩みになるだろう。その点、iPhone 18 Pro Maxなら幅は約78mm、厚さは約8.75mmなので、大きいことには変わりないがサイズ的にまだマシともいえる。

 もっとも、幅と厚さの問題はGalaxy Z Fold8にも当てはまる課題ではある。

 一方で、ボディーの体積は、iPhone Duoは約112cm3、iPhone 18 Pro Maxは約111.5cm3と両者でほとんど差がない。もちろん、カメラの突起や角の丸みを含めた実測体積ではないが、同じくらいの分量の部品を再配置したと捉えて観察すると、面白いかもしれない。

体積 重量や体積を見てみると、実はiPhone 18 Pro MaxとiPhone Duoで大きな差はない

 使いやすさに最も影響を与えうる要素は、生体認証方式の違いだろう。iPhone Duoはサイドボタンに「Touch ID」を備えるが、「Face ID」はない。開いた状態で縦方向にすると、タッチセンサーの位置を見失って「どこにあるかな?」と探してしまうことも多かった。

 この点については、「Apple Watch」を持っていれば、ペアリングすることでロック解除に使うことができるので、さほどロック解除にストレスは感じないと思われる。

 また、「アクションボタン」と「着信/消音スイッチ」を備えていないことにも注意したい。「コントロールセンター」で消音を切り替えるだけとはいえ、これらをよく使うなら押さえておきたいポイントだ。

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