ドコモが“導線”を作る――スマホの利用シーンを広げる「NFCタグ」:Mobile IT Asia
NTTドコモがMobile IT Asiaで展示している「NFCタグ」を用いたサービスは、Webサービス、アプリ、機能をより便利に使える可能性を秘めている。専用アプリを使えばFeliCa端末でも利用可能だ。提供中、構想中のサービスを見てきた。
Mobile IT AsiaのNTTドコモブースでは、NFC関連のサービスを展示している。NFCには「ICカード」「Peer to Peer」「リーダライタ」という3種類のモードがあるが、今回はリーダライタ機能を活用する「NFCタグ」関連のサービスを中心に紹介していた。
健康機器との連携を紹介する「NFC×ヘルスケア」というテーマのコーナーでは、「NFC Dynamic Tag(FeliCa Plug)」と呼ばれるタグを搭載したオムロンヘルスケアの血圧計(HEM-7250-IT)や体組成計(HBF-208IT)との連携機能を紹介。体組成計のタグにFeliCa/NFC対応のスマートフォンをかざすと、体組成計で計測したデータをスマートフォンで読み込める。これらの製品は病院で導入されているほか、一般向けにも発売中。日本で発売されているスマートフォンでは「GALAXY NEXUS SC-04D」や「GALAXY S II LTE SC-03D」などがNFCを搭載しているが、標準でリーダライタ機能を持つNFC端末なら、アプリを起動せずに端末をかざすだけで情報を読み取れる(FeliCa端末はアプリの起動が必要)。会場ではXperia acro SO-02C(FeliCa端末)とSC-03D(NFC端末)でデモを行っていた。また、NFC Dynamic Tagを搭載した健康機器のデータをFeliCa/NFC端末で受信するアプリの開発用ソフトウェア「NFCヘルスケアライブラリー」をソニーが提供しており、こうした取り組みもNFC・健康機器連携の追い風になりそうだ。
NFCのリーダライタ機能を利用したタグでは、街中にあるポスターに端末をかざして映画の情報を入手できるなど、さまざまなWebサービスやアプリを使ってもらうための導線になる。ブースでは、ドコモの3Gモジュールを搭載した日産の電気自動車「リーフ」の、充電やエアコンなどを遠隔で操作できるアプリを連携させたタグを展示。スマートフォンをかざすと「日産リーフ」アプリが立ち上がる。ちなみに、持ち運び可能なタグにスマートフォンをかざと特定の機能やアプリを呼び出せるソニーモバイルの「SmartTags」(海外向けに提供)も、このNFCタグの仕組みを利用したもの。アラームの設定、取扱説明書を読む、テレビのリモコンを使うなど、端末側で一切操作をせずにショートカットとして活用できるのがNFCタグの利点。さらに、NFCタグは形、大きさ、デザインなどを自由に決められるほか、アクリル、ガラス、木板、金属など貼る材質も選ばない。電源も不要なので街中に設置しやすい。ただし「金属の上に貼る場合は電波干渉を起こす恐れがあるので、わずかに隙間を空けている」(説明員)という。
NFCタグは、ドコモが提供している「ICタグ・バーコードリーダー」アプリを利用すれば、FeliCa端末からも読み取れる。同アプリはバックグラウンドで動作するため、インストールされていればアプリを起動せずにタグを読み取れる。アプリのダウンロードは以下から(ドコモ以外のAndroid端末でも利用できる)。
NFCタグを使った“リアルなショートカット”も紹介されていた。ボードの上に貼られた「おかあさん」「おとうさん」「おてんき」「せつめいしょ」「メール」などのNFCタグ入りのシートに端末をかざすと、母親に電話をかける、天気予報を見るといった操作画面に移行する。会場では「MEDIAS LTE N-04D」を使い、ICタグ・バーコードリーダーアプリで読み取るデモを実施。このアプリでは、発信する電話番号を変えるなど、タグの情報を書き換えることも可能だ。近い将来、らくらくホンを使っているようなシニア層もスマートフォンにシフトすることが予想されるが、NFCタグが“らくらく操作”の一助になりそうだ。NFCタグを起点とした利便性の高いサービスの登場も期待される。
関連キーワード
NFC(Near Field Communication) | スマートフォン | FeliCa | 健康 | NTTドコモ | バーコードリーダー | 血圧 | ヘルスメーター | 医療 | バーコード | ICタグ | Mobile IT Asia | GALAXY S II LTE SC-03D | Android | FeliCa Plug | GALAXY NEXUS SC-04D | ショートカット | ソニー | 天気予報 | Webサービス | エアコン | クーポン | クレジットカード | らくらくホン | 電気自動車 | ICカード | 日本 | 韓国 | KT | LTE(Long Term Evolution) | 電波 | リモコン
関連記事
- 特集:Mobile IT Asia
- Mobile IT Asia:NTTドコモが目指す“NFCの未来”とは (1/2)
NTTドコモは、3月14日から16日に東京ビッグサイトで開催されるビジネスコンベンション「Mobile IT Asia」で、「スマートフォンとNFCの今後」をテーマに展示を行う。日本市場、そして世界でのNFC普及への道のりが垣間見られる。 - Mobile World Congress 2012:NFC/FeliCaの世界標準化を推進、LTEスマホの消費電力を下げるチップも――ドコモ
MWCのドコモブースでは、3G+LTEの新型チップ、NFCへの取り組み、車と自転車向けナビゲーション、3月1日から提供する音声エージェントなどを主に紹介している。 - 携帯3社、NFC普及に向け「モバイル非接触ICサービス普及協議会」を設立
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルの3社が、「モバイル非接触ICサービス普及協議会」の設立に合意。NFCを使ったサービスの世界的な立ち上がりをうけ、国内におけるNFCの普及もみらみ、環境整備などを協議する。 - Mobile World Congress 2011:MWCにみるモバイル業界NFC最前線――世界サービス共通化は近いか?
モバイル決済サービスなどへの活用が期待される、非接触ICカード通信の国際規格として、NFCの注目度が高まっている。世界的にどのような取り組みが始まり、またFeliCaが普及している日本でどうなるのか――MWC会場でその動きを追った。 - Mobile World Congress 2011:NFCから同時通訳電話まで――MWCで技術力を披露するドコモ
スペインで開催されているMobile World Congress 2011でNTTドコモは、同社の端末やサービスの展示に加え、NFCに対する取り組みや、LTEを見すえた同時通訳電話サービス、さらには筆跡や顔といったユーザーの個性を反映したコミュニケーションサービスの研究などを紹介している。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.