メガソーラーを対象にした損害保険が登場、日照時間の不足も補償自然エネルギー

7月1日から始まる再生可能エネルギーの固定価格買取制度に向けて、各業界が新規参入や新商品の発売を急いでいる。特に動きが活発なのは太陽光発電の分野で、多額な投資を必要とするメガソーラー(太陽光発電所)を対象にした損害保険まで登場した。

» 2012年06月22日 13時19分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 損害保険大手の三井住友海上火災が「メガソーラー総合補償プラン」という名称で新しい保険商品を発売した。通常の損害保険と同様の災害時の補償に加えて、メガソーラー(太陽光発電所)に特有の日照時間の不足に対する補償をプランに組み込んだ点が特徴だ(図1)。メガソーラーが立地する地域の年間日照時間を事前に設定して、それを下回った場合に補償金が支払われる仕組みである。

ALT 図1 「メガソーラー総合補償プラン」が対象とする損害。出典:三井住友海上火災保険

 例えばメガソーラーで標準的な発電能力が3メガワットの発電所を、総工費10億円で建設するケースを想定すると、設備に対する賠償額は最高5億円で、年間の保険料は約250万円になる。

 この保険をベースに、日照時間の不足に対する補償はオプションの金融商品(デリバティブ)として提供する。仮に年間の日照時間が2000時間(1日平均で約5.5時間)を下回った場合に補償金が支払われるように設定すると、追加の保険料(金融商品のプレミアム)は約180万円で、設備に対する保険料と合わせて約430万円になる。ただし日照時間の不足に対する補償金の計算方法は公表されておらず、個別の条件によって決められる。

 新たにメガソーラーを建設して発電事業に参入する企業にとっては、再生可能エネルギーの固定価格買取制度によって収益計画を立てやすくなった。さらに損害保険を組み合わせることで、天候による収益の変動リスクを抑制できるメリットがある。三井住友海上は今後2年間で5億円の保険料収入を見込んでおり、上記の標準ケースで換算すると50件以上になる。

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