前回は節電対策の事前知識として電気料金の仕組みを解説した。今回からは実際に電力消費量を削減する手法について具体的に紹介する。まずは電力使用量の削減に直接的な効果のあるLEDなどの最新機器の導入メリットを、実例に基づき解説していく。
連載(1):「基本料金と電力量料金の両方を削減する」
いまや節電対策の象徴になっているLED照明から導入効果を説明しよう。従来から使われている照明と比べて、どのくらいの電力を削減することが可能なのか。参考値ではあるが、製品カテゴリーごとにまとめてみた(図1)。
上記の比較は製品によって若干の差異はあるものの、メーカーなどのウェブサイトでも同様の数値が掲載されている。では実際に費用対効果の点ではどうなのか。LED照明の購入費用と、電力使用量の削減によるコスト削減効果について、詳しく見てみる。
最初に結論から言うと、費用を大幅に上回るコスト削減効果がある。一昔前のLED照明と比べてコストは格段に低くなっている。当社が販売する蛍光管タイプのLED照明を例にとると、導入工事費込みで1本あたり7,980円と、すでに1万円を大きく下回っている。
当社で試算したところ、蛍光灯タイプの場合には、1日の点灯時間が15時間、1年間の点灯日数が250日と想定して、3年10か月で費用を回収できる。LED照明の定格寿命が4万時間であることから、同じ使用時間と日数で計算すると10年8か月の利用が可能になる。十分に費用対効果があることを感じていただけると思う。
さらにLED照明には節電以外のメリットがあることをご存じだろうか。LED照明は従来の照明と比べて、熱を発生しにくい。このため飲食店や専門店などでは、照明の熱による商品の劣化を防ぐことができる。さらに紫外線の放出量が少ないことから、虫が寄ってきにくいという効果もあり、屋外の照明に使うのにも適している。
当社では顧客に節電対策を提案する一方で、社内でも全社を挙げて節電対策を進めてきた。その中でLED照明と同等の節電効果に驚いた経験がある。デスクトップPCからノートPCへの入れ替えだ。実データがあるのでご覧いただきたい。
デスクトップPCからノートPCへ入れ替えると、消費電力を60%も削減することができる(図2)。もちろん機種によって消費電力の値は違うため、あくまでも参考値として考えていただきたい。
当社では以前はオフィスでデスクトップPCを利用していたが、OSをWindowsXPからWindows7へ移行するにあたり、ノートPCの導入を検討した。最大の理由は節電対策である。カタログ値ではない実環境の計測値によって、上記のような削減効果があることが判明した。
ここで重要な点は、CRTを併用しているところだ。筆者もノートPCとCRTを併用しているが、CRTを利用することで画面サイズを大きい状態に保つことができ、業務効率を下げることなく仕事を進めることができる。
このほかにも、企業において電力使用量を削減するためのさまざまな対策がある。すべて説明しきれないが、一部を以下に示す(図3)。
このように最新機器の導入や使い方の工夫により、直接的に電気使用量を削減することが可能である。次回は、さらに踏み込んだ節電対策として、最近話題の「電力の見える化」ついて効果を解説する。
連載(3):「電力の見える化で攻めの節電対策を」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.