2012年7月の販売電力量のデータが明らかになった。夏に入り、政府による節電要請期間に入った月のデータだ。毎年7月は前月に比べて販売電力量が大きく伸びるものだ。今年の7月も前月に比べて販売電力量を伸ばしたが、その幅はわずかだった。
電気事業連合会が2012年7月の電力需要実績確報をまとめ、発表した。毎年の販売電力量の推移を見ると、春から6月までは減少を続け、7月に大きく増加するというパターンを繰り返している。毎年7月ごろから本格的な夏に入り、空調機器による電力需要が大きく伸びるからだ。
全国10社の7月の販売電力量合計を見ると、およそ684億8816万kWh。6月の販売量合計はおよそ640億4273万kWh。例年と同じように7月に販売量が上昇に転じたが、伸び率はわずか6.9%。毎年7月の販売電力量の伸び率を振り返ると、2011年は13.9%、2010年は13.8%、2009年は12.3%と、どの年も10%以上の伸び率を記録している。今年の6.9%という数字は例年の半分程度だ。
各社の販売量の伸び率を見ても、10%以上の伸びを見せているのは四国電力と沖縄電力のみ。ほかの8社は1けたにとどまっている。
前年同月比を見ると、東北電力がわずかに伸びているだけで、ほかの9社はいずれも販売量を減らしている。厳しい節電目標値を設定された関西電力の下落率が最も大きく、10.6%の下落となった。
参考までに2011年7月の販売電力量のデータを見ると、今年7月の販売電力量の少なさがよく分かる。北海道電力、東北電力、北陸電力の3社を除く全社が販売量を前月比で10%以上伸ばしている。そして、東北電力と東京電力の前年同月(2009年7月)比を見ると、東日本大震災の影響を受けていることがはっきりと分かる。
2012年7月と2011年7月の販売データを見比べると、もう1つ注目すべきポイントがある。住宅や商店などが結ぶ電灯電力契約向けの販売量だ。2011年7月は前月比26.2%増の約262億953万kWhと大きく伸ばしている。一方、2012年7月の電灯電力契約向けの販売量は約227億9877万kWh。前月比にするとわずか9%の伸びにとどまった。
大規模需要家向けの特定規模の販売量と伸び率を見ると、2011年7月も2012年7月もそれほど大きな変化はない。2012年7月の販売電力量がわずかな伸びで終わったのは、主に個人や商店の節電努力によるものと考えられる。厳しい節電はまだ続いている。8月、9月の結果に注目だ。
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