「日本卸電力取引所」で売買される電力の卸値が8月下旬に大幅に上昇した。特に8月20日、21日、29日の卸値が急騰、電力需要がピークになる13時〜16時の単価が40円近くになり、固定価格買取制度における太陽光発電の単価42円と変わらない高い水準に達した。
日本卸電力取引所では再生可能エネルギー以外の電力でも取引が可能で、製造業などに多いガスエンジンによる自家発電の電力でも売買することができる。夏の電力需要が増加する期間に取引価格が高騰することが明らかになり、今年の冬から来年の夏に向けて発電設備を増強する企業も増えそうだ。
7月30日(月)〜8月31日(金)の5週間にわたる平日の取引状況を見ると、お盆休みが明けた8月20日(月)から卸値が上昇している(図1)。時間帯別では需要がピークになる13時〜16時の取引価格が1kWhあたり40円近くに達した日が3日間あった。夜間を除いた8時〜22時に供給する電力の平均値でも単価が20円を超える日が多く、高いとされている再生可能エネルギーの買取価格にひけをとらない水準で取引された。
今年の冬も地域や時間帯によっては電力の需要が大幅に増えることから、一時的に卸値が高騰する可能性は大きい。こうした卸売市場の機能は電力の需要と供給のバランスを図るうえで重要な役割を果たし、従来の電力会社による硬直的な電力供給体制を緩和することになる。電力供給の安定化のためにも、企業による自家発電の増加と卸売市場の活性化が望まれるところだ。
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