工場と物流センターの屋根で年間1億円以上の売電収入、ミサワホームが電力小売もスマートファクトリ

住宅メーカー大手のミサワホームが自社グループを皮切りに、取引先や住宅オーナーを含めたコミュニティ全体の電力コスト削減に乗り出す。全国4カ所の工場や物流センターの屋根で太陽光発電設備を稼働させたほか、新電力の届出を完了して4月から小売事業も開始する。

» 2013年11月15日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ミサワホームは電力分野を住宅事業の拡大に生かす方針で、太陽光発電と電力小売の2つを新規事業として展開していく。太陽光発電では住宅向けの商品開発を強化する一方、自社の施設の屋根を利用して売電収入を増やす。このほど群馬県の沼田工場の屋根に太陽光パネルの設置を完了して、全国4カ所で発電事業の体制を整えた(図1)。

 4カ所の設備を合計すると発電能力は3.6MW(メガワット)になり、年間の発電量は360万kWhを想定している。固定価格買取制度の2012年度の買取価格(1kWhあたり40円)を適用して、年間に1億4400万円の売電収入を見込む。いずれも自社施設の屋根を活用した取り組みで、土地代がかからない。

図1 4カ所の自社施設の屋根に設置した太陽光発電設備。出典:ミサワホーム

 さらにミサワホームは2014年4月から電力小売事業にも参入する。すでに新電力としての届出を済ませ、東京電力管内で小売事業を開始する準備を進めている。当初はミサワグループの事業所に電力を供給して、電力コストを削減する。続いて取引先にも供給ネットワークを広げて、サプライチェーン全体で電力コストの引き下げを加速させる計画である。

 2016年には家庭向けの電力小売が自由化されることから、住宅オーナーを加えたコミュニティ全体に電力供給ネットワークを展開していくことも検討する。住宅の建設だけにとどめず、電力の供給まで含めて効率的なエネルギー利用環境を提供することによって、取引先や住宅オーナーの拡大を図る狙いだ。

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