太陽光発電の異常を見逃さない、1年間の実証で診断アルゴリズムを高度化エネルギー管理

全国各地で急増中の太陽光発電システムだが、運転を開始すると軽度から重度まで、さまざまな異常を発生する可能性がある。重度の場合はすぐに修復しないと、発電量を減らしてしまう。オムロンは1年間の運用実績をもとに診断アルゴリズムを改良して、異常検出の仕組みを高度化した。

» 2013年12月17日 16時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 オムロングループは太陽光発電システムの発電状況を監視・保守するサービス「ソラモニ」を2012年7月から開始して以来、導入企業における運用事例を1年間にわたって分析した。実際に太陽光発電を設置した場所で起こっている事象と遠隔監視のデータを突き合わせて、異常が発生するパターンを蓄積してきた。その結果をもとに、異常を検出する診断アルゴリズムを高度化して、2014年1月からソラモニのサービスに組み込んで提供する(図1)。

図1 太陽光発電システムの遠隔監視〜点検・修理の流れ。出典:オムロン

 1年間の運用実績を通じて、従来のシステムでは発見しづらいパターンの異常が数多く見つかったという。そうした異常にも対応できるように診断アルゴリズムを改良したことにより、遠隔監視システムからの自動通報の精度を高めることができた。合わせて異常を監視するサービス要員の習熟度を向上させて、システムと人間の両面による判断機能をレベルアップする。

 同時に遠隔監視システムによる発電量などのレポーティング機能も拡充する。ひと目で発電状況がわかるサイネージ画面で当日の発電量をリアルタイムに表示するほか、天気予報をもとに翌日と翌々日の発電量を予測して表示することができる(図2)。さらに発電状況をグラフや表でまとめた日次・週次・月次のレポートを作成する機能も新たに加えた(図3)。

図2 サイネージ画面例。出典:オムロン
図3 日次・週次・月次レポート例。出典:オムロン

 オムロンは今後も継続して遠隔監視システムの機能強化を進める予定である。太陽光発電システムから電力会社などに売電した電力量の収集・表示や、太陽光発電システムに接続して使う受変電設備(キュービクル)の異常検出にも対応できるようにする。

 ソラモニは出力が100kW〜2MW(メガワット)の中・大規模の太陽光発電システムを対象にした遠隔監視・保守サービスである。太陽光パネルからの電力を集約するためのパワーコンディショナーや接続箱を通じて発電量のデータを収集する一方、現地に設置したセンサーで日射量や気温のデータも収集して、ネットワーク経由で遠隔監視することができる。

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