12月の電力需要は前年比3.9%ダウン、家庭向けは9.4%の大幅減エネルギー管理

電力需要が再び下降トレンドに入った。2013年12月に電力会社10社が販売した電力量は前年比で3.9%減少して、3カ月ぶりに前年実績を下回った。家庭向けの「電灯」が9.4%も減る一方で、製造業を中心とする「産業用」だけは前年を上回った。特に鉄鋼業の需要増加が目立つ。

» 2014年01月24日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 12月は冬の電力需要が伸び始める時期だが、電力会社10社の販売量は11月と比べても5%ほどしか増えなかった。前年同月比では3.9%の減少で、特に家庭向けの「電灯」と小規模な店舗・工場が利用する「電力」が1割近い大幅な減少率になった(図1)。

図1 電力会社10社が2013年12月に販売した電力量。出典:電気事業連合会

 各電力会社のデータをまとめた電気事業連合会は「12月上旬に気温が高めに推移した」ことを主な理由に挙げている。とはいえ家庭や企業の節電対策が定着して電力需要が減少しているのは明らかだ。

 企業向けの販売量を見ても、オフィスなどの「業務用」は前年比2.5%の減少だった。ところが大手の製造業を中心とする「産業用その他」だけは1.7%の増加を記録した。その中でも電力使用量の多い大口ユーザーを業種別に見ると、鉄鋼業が前年比で8.1%も増えていて、10月から3カ月連続で大幅な伸びを示している(図2)。

図2 産業用のうち大口ユーザーに販売した電力量。出典:電気事業連合会

 国内の景気回復と円安による輸出増加によって、重厚長大型の製造業のあいだで電力需要が増えてきた。ただし自動車や電機を含む機械器具製造業では前年比2.1%の増加にとどまっていて、業種による差も大きい。電気料金の値上げが相次ぐ状況にあって、電力コストを抑制することが製造業の大きな課題になっている。

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