蛍光管と入れ替えて使えるLEDランプ、3種類の安定器に自動対応LED照明

リコーは直管形LEDランプ「RICOH LED Mシリーズ」の出荷を2014年4月から開始する。特徴は3種類の安定器に自動対応すること。LEDランプを蛍光管とそのまま置き換えて使いやすい。色温度によって3種類の製品に分かれる。寸法は全て40形だ。

» 2014年04月22日 17時30分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 オフィスの蛍光管を取り外して、交換用のランプを差し込むだけ――このようなLEDランプを採用すると、交換工事が不要になり、導入のハードルが下がる。オフィスの規模を問わず、省エネ、電力料金削減効果をすぐに得ることができる。

 リコーが2014年4月24日に出荷を開始する直管形LEDランプ「RICOH LED Mシリーズ」はこのような特徴を強く打ち出した製品だ。

面倒な安定器に自動対応

 蛍光管をLEDランプに置き換える際、面倒なのが、灯具(固定式の器具)内部に隠れている安定器の存在だ。蛍光灯は白熱電球とは異なり、本来不安定な放電現象を利用して光る。ランプの始動を助け、放電時の電流の大きさが一定に保たれるように助ける仕組みが必要だ。それが安定器である。

 LEDランプは放電現象を伴わないため、安定器は不要だ。しかし、蛍光灯の灯具をそのまま使うと内部の安定器は蛍光管が差し込まれているものとして動作してしまう。そこで、安定器を取り除いたり、回路を切断したりする工事が必要になることも多い。

 安定器を生かしたままLEDランプに交換できる製品もある。リコーの新製品はこのような製品と比べても優れているという。1本で3種類の安定器に自動対応するためだ。内部に検出回路が組み込まれており、安定器の種類に応じてLEDの駆動回路が切り替わる。「大手のLEDランプメーカーの製品として3種類の安定器に初めて対応したと考えている」(リコー)*1)。3種類とは磁気式安定器(グロー方式、ラピッド方式)と電子式安定器(インバーター方式)だ。

 同社の既存のLEDランプ「CLARTE Pシリーズ」では、磁気式用と電子式用が別の製品に分かれていたため、複数の方式が混在しているオフィスなどでは導入の妨げになる可能性があった。後継機種であるRICOH LED Mシリーズではオフィスを移転した場合も、購入したランプが無駄にならない。

 省エネ効果は安定器の種類によって異なるのだという。RICOH LED Mシリーズの消費電力は24W(直結時22W)。グロー方式(灯具を合わせた消費電力が45Wの場合)やラピッド方式(同45W)と比較すると、約47%減になる。インバーター方式(同36W)の場合は約33%減に相当する。

 導入しやすさ、省エネ効果に加えて、製品の保証期間も、従来の3年から5年に延ばしている。製品寿命は4万時間を維持した。

*1) 今回の製品を採用したとしても、安定器の交換や、安定器をバイパスして商用電源に直結する工事が必要になる場合がある。理由は2つある。まず、LEDランプ導入時に既存の安定器が既に法定耐用年数を超えていた場合。次に、主要な3方式以外の安定器が少数ながら存在することだ。「CLARTE Pシリーズでも対応できない安定器があり、配線を直結する工事が必要になった」(リコー)。

3種類の色温度をそろえた

 RICOH LED Mシリーズは、オフィス用途で最も需要が多い40形(長さ1198mm)向けの6製品からなる*2)

 従来製品は昼白色(色温度5100K)のみだったが、これに白色(4100K)と電球色(3000K)を追加した(図1)。それぞれランプを20本まとめたパッケージがある。

*2) RICOH LED MシリーズはCLARTE Pシリーズ同様、両方のG13口金から給電する。交換時の感電を防ぐため、従来製品と同様、灯具に完全に装着しないと通電しないようにするスイッチを付けた(図1左下にある緑色の部分)。

図1 40形の直管形LEDランプ「RICOH LED Mシリーズ」3製品。管径は25mm(口金部28mm) 出典:リコー

 光源が放つ光の総量(全光束)は、6製品とも同じで2300lm(ルーメン)。LEDランプ直下1mの明るさ(照度)は、昼白色の製品が500lx(ルクス)、それ以外の製品が457lxだ。光の照射角度は240度、最大光度の2分の1の光が当たる範囲(ビームの開き)は135度。

 太陽光と比較して色の再現性がどの程度あるのかを示す平均演色評価数(Ra)は85。これは他社製品と比較すると、生鮮食料品売り場で利用できる性能だ。

 RICOH LED Mシリーズの価格はオープン。「販路や顧客によって価格が変わるためだ」(リコー)。今後は、CLARTEシリーズ同様、40形以外の製品化も検討しているという。

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