初期費用0の戸建て太陽光、売電収益で無利子の分割払い自然エネルギー

LIXIL住宅研究所と日立キャピタル、ハンファQセルズジャパンが新築住宅と太陽光発電システムを同時に購入した場合に、太陽光部分の分割手数料を負担するサービスを開始した。売電収益で太陽光部分の分割払いを賄うことが可能だという。

» 2014年06月30日 13時20分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 戸建住宅を新築する際、初期導入費用を掛けずに太陽光発電システムを設置できるサービスが2014年6月に始まった。システム導入費用は売電収益による分割払いで賄う。サービスを開始したのは、LIXIL住宅研究所と日立キャピタル、ハンファQセルズジャパンの3社。

 LIXIL住宅研究所の住宅ブランド「フィアスホーム」「GLホーム」「アイフルホーム」*1)を、金融機関の住宅ローンを利用して購入し、ハンファQセルズジャパンの太陽光発電システムを同時に導入する際、適用されるサービス。「今回のサービスで導入する製品は、出力260Wの多結晶シリコン太陽電池モジュール『Q.PRO』だ」(ハンファQセルズジャパン)。高効率で低照度に強いことを特徴とする製品だという。最大導入量は15kWである。

 今回のサービスでは、2014年9月までに建築工事請負計画を締結すると2年間の日照補償を受けることができる。気象庁のデータから都道府県別の年間日照時間を基準値として算出し、実際の値が基準値をある程度下回った場合、最大5万円を補償するというもの。2014年9月以降の補償期間は1年だ。

*1) アイフルホームを対象としたサービスを2014年5月から先行して開始している。

分割払いと売電収益の関係は

 LIXIL住宅研究所は、GLホームブランドの新築住宅を東京地域で購入した場合の収益モデルを公開している。新築住宅(2000万円)と出力7.8kWの太陽光発電システム(285万円)を、固定金利2%、35年ローンで購入するとしよう。住宅分の金利は783万円、太陽光分は111万円であるため、支払総額は3179万円だ。

 今回のサービスを適用すると、太陽光発電システムを分割手数料が0(無利子)であるクレジット契約によって導入できる。従って太陽光発電システムの金利分(111万円)だけ、支払総額(3068万円)が少なくなる。

 同社によれば、太陽光発電システムの費用を10年(120カ月)分割*2)で支払うと、返済額は月額2万3778円となる。太陽光発電システムで得た電力には余剰買取制度が適用される。買取価格は固定で37円/kWh(税込)だ。すると売電収益は月額2万2802円、同電力の自家消費分は3333円であるため、合計2万6134円の「収益」となる。この収益は、分割払いの金額よりも2356円多い試算だ。11年目以降は固定買取価格ではなくなるものの、分割払いは完了しており、売電した額が純粋な収益になる(図1)。

*2) 太陽光発電システム部分の分割払い期間を、10年以下に設定することも可能。

図1 新サービスの特徴 出典:LIXIL住宅研究所

10kW以上搭載すると20年間の売電が可能

 導入する太陽光発電システムの容量を10kW以上に増やすと売電関連の条件が変化する。買取価格は34.56円/kWh(税込)に下がるものの、買取期間が20年間に伸びる。さらに余剰買取から全量買取に買取条件が変わる。

 例えばアイフルホームで出力10.92kWの太陽光発電システムを搭載した新築住宅を2800万円で購入したとしよう。35年間、変動金利0.549%を維持できた場合、支払いは月額7万3291円だ。しかし、売電収入が3万5654円見込めるため、実質的な支払い額を3万7637円に抑えることができると試算している。

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