14坪の屋根で12.7kWの太陽光、戸建住宅に搭載スマートホーム

住友林業は2014年7月、10kW以上の太陽電池モジュールを屋根上に設置可能な「Green Smart Solar Z」を発表した。緩勾配の片流れ屋根にシャープの高性能太陽電池を載せる。

» 2014年07月09日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 住友林業は2014年7月、10kW以上の太陽電池モジュールを屋根全面に設置することを目的とした「Green Smart Solar Z(グリーンスマート ソーラーゼット)」を発表した。同社の住宅が採用する「マルチバランス構法(工法)」「ビッグフレーム工法」「ツーバイフォー構法」のいずれとも組み合わせることが可能だ*1)

*1) マルチバランス構法は伝統的な木造軸組構造に個別住宅ごとの最適基礎設計を施したもの、ビッグフレーム構法は1本の柱を分厚くして、梁勝ちラーメン構造を実現し、開口部を大きく採ることができるようにしたもの。

 Green Smart Solar Zは大出力の太陽光発電システムを目指しているため、屋根形状は平らな1枚の板をわずかに斜めに置いたような「片流れ」となる(図1)。「傾斜角度は三寸勾配となる。水平1尺(30.3cm)に対して、3寸(9.09cm)立ち上がる勾配だ」(住友林業)。

 太陽電池モジュールは出力が大きなシャープの「BLACKSOLAR」を用いた。単結晶シリコンを用いた高効率なモジュールである(関連記事)。

図1 Green Smart Solar Zの採用イメージ 出典:住友林業

 同社がモデルプランとして示す例では、屋根面積14坪に出力12.7kWの太陽電池モジュールを設置する。住宅自体は総2階建てとなり、延床面積は27坪である。この場合、20年間で売電収入が約920万円に上るという*1)。Green Smart Solarは最大15.4kWまで出力を高めること可能だ。この場合縦横10m×7mの建物が必要となる。

*1) 出力が10kW以上の太陽光発電は固定価格買取制度(FIT)の適用が10kW未満と異なる。10kW未満の余剰買取に対して全量買取に変わる。買取価格(調達価格)は37円(税込)から32円(税別)へ下がるものの、買取期間は10年間から20年間に伸びる。モデルプランに従って東京都で南向きの住宅を立ち上げたとすると、1年間の年間推定発電量は1万3348kWとなり、これに34.56円と20年を乗じると約922万円となる。

 同社は2014年2月に環境配慮型住宅「Green Smart」を発表している。「木の家であること」「エネルギー消費を減らすこと」「エネルギーを賢く生かすこと」をコンセプトとした戸建て住宅だ。断熱性能の高さとさまざまなエネルギー源の利用をうたっている。

 断熱性能を高めるために、断熱部材の強化とアルゴンガス入りのLow-E複層ガラスを採用(関連記事)。2020年度から適用される「省エネ基準適合化住宅の義務化」を先取りしたと主張する。エネルギー源として太陽光発電システム以外に、家庭用燃料電池(エネファーム)やHEMS、V2Hなどを利用できる。「今回、太陽光発電システムだけを取り出して製品化した理由は、FITを利用でき、顧客ニーズが高いためである」(同社)。

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