モジュール高効率化とHEMSを使ったサービスに向かう自然エネルギー

ハンファQセルズジャパンは、太陽光発電に関する総合イベント「PV Japan 2014」において、開発中の太陽電池モジュールやHEMSを展示した。太陽電池セルや太陽電池モジュールの製造、販売にとどまらず、HEMSを通じた制御にも乗り出した形だ。

» 2014年08月12日 14時15分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 ハンファQセルズジャパンは、太陽光発電に関する総合イベント「PV Japan 2014」(2014年7月30日〜8月1日、東京ビッグサイト)において、開発中の太陽電池モジュールやHEMSを展示した。太陽電池セルや太陽電池モジュールの製造、販売にとどまらず、HEMSを通じた制御にも乗り出した形だ。

 太陽電池モジュールでは、開発中の多結晶シリコン太陽電池セルを用いた「Q.ANTUM ULTRA」(出力295W、図1)と、「Q.ANNUM BLACK」(出力280W、図2)を見せた。展示したQ.ANTUM Blackでは、太陽電池モジュール1m2当たりの出力が200Wに達したことをうたっていた。

図1 「Q.ANTUM ULTRA」太陽電池モジュール
図2 「Q.ANTUM BLACK」太陽電池モジュール

 同社は太陽電池セルの裏面に機能性ナノ薄膜(誘電体)を形成する技術を「Q.ANTUM」と呼んでいる。セルに入射した太陽光を裏面で反射し、再度セル内に向かわせることで光吸収率を高めるための工夫だ(図3)。他社製品と比較して環境条件によって発電量が年間最大5%増えるという。「国内でも3%以上増えることを確認済みだ」(ハンファQセルズジャパン)。

図3 Q.ANTUM太陽電池セルの構造

HEMSを利用したサービスも

 展示したHEMSはコンセプトを示したもの(図4)。太陽光発電システムに用いるパワーコンディショナーや、分電盤に取り付けた交流電流センサー(CTセンサー)から情報を入手する。無線LAN(Wi-Fi)用ルータを経由して屋内や屋外から、太陽光発電システムの状態や発電量、宅内の消費電力などの情報を閲覧できる(図5)。無線LANルータや家電がECHONET Liteに準拠していれば、HEMSから操作できるようにする。「太陽光発電システムの出力値が異常な場合、当社のサービスによって、メールを使った通知を送ることなどを考えている」(ハンファQセルズジャパン)。

図4 開発中のHEMSのシステム構成
図5 タブレットに表示したHEMSの画面

 この他、発電事業の現状についても展示した。同社は2014年7月、徳島県阿波市に自社の太陽光発電所(出力約2MW)の建設を開始しており、2014年12月の完成を予定する。同月、国内でPPS事業者(新電力事業者)認定を受けており、電力自由化に向けて、太陽光発電所から得た電力を他社へ供給する方向を見せた*1)

*1) 同社は国外に約10カ所の自社発電所を所有しており、独立系発電事業者として活動している。

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