北海道電力が冬の節電を要請、万一の供給力不足に早めに備える電力供給サービス

毎冬に電力不足の心配がある北海道で早めの節電対策が始まった。北海道電力は2012年度から取り組んでいるアグリゲータとの連携による需要抑制プログラムを今冬も実施する。供給力が不足する事態に備えて企業に節電を要請するもので、2013年度には0.3万kWの需要を削減した。

» 2014年09月18日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 北海道電力は冬の需要を抑制するために例年と同様の対策に取り組む。2013年度には供給力が不足する際に実施する6種類の契約を実施したほか(図1)、工場などの操業時間を調整する契約を結んでピーク時の需要抑制を事前に進めた実績がある。今冬も同じプログラムを用意して、利用者や事業者に向けて早めに節電の協力を要請する。

図1 2013年度の冬に実施した主な需要抑制プログラムの実績。出典:北海道電力

 供給力不足の対策のうち、アグリゲータと連携した需要抑制プログラムの応募を9月12日に開始した。中小規模のビルや工場を主な対象に、エネルギー管理サービスを提供するアグリゲータを通じて需要の抑制を依頼するプログラムである。協力した企業には削減した電力量に応じて対価を支払う仕組みだ(図2)。

図2 アグリゲータと連携して実施する電力需要抑制プログラム。出典:北海道電力

 2012年度の冬から始めたプログラムで、2013年度の冬には3社のアグリゲータを通じて合計0.3万kWの需要を抑制することができた。北海道では冬のピーク時の電力需要が500万kWを超えるため、0.3万kWの削減量はわずかではあるが、そのほかの需要抑制プログラムと組み合わせることで供給力不足を回避する効果がある。

 2013年度の冬の需給状況を見ると、12月〜2月の3カ月間に、北海道内の供給力だけでは予備率(需要に対する供給力の余裕)が3%を下回る日は4日あった(図3)。実際には本州からの融通によって最大で60万kWの供給力を増やせるため、電力が不足する事態には至っていない。ただし本州と結ぶ連系設備にトラブルが発生することもあり、万一に備えて北海道内で需給を調整できる体制は不可欠である。

図3 2013年12月〜2014年2月の供給予備力。出典:北海道電力

 北海道電力は他の電力会社とともに、国からの要請に基づいて夏と冬の需給予測を事前に発表する。冬の需給予測は例年10月の前半に公表していることから、今年も10月の初めには各種の需要抑制プログラムの実施状況と合わせて詳細を確定させる見通しだ。

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