4点突破の蓄電池、容量出力寿命施工蓄電・発電機器

NECは2014年11月12日、家庭用の定置型蓄電池の新製品「小型蓄電システム」を発表した。容量は7.8kWh。2015年1月下旬に国内で出荷を開始する。価格は200万円程度だとみられる。

» 2014年11月13日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 NECは2014年11月12日、家庭用の定置型蓄電池の新製品「小型蓄電システム(ESS-003007C0)」を発表した。容量は7.8kWh。2015年1月下旬に国内で出荷を開始する*1)。価格は200万円程度だとみられる。

 同社は2012年4月に「家庭用蓄電システム(ESS-H-002006B)」(容量5.53kWh)の発売を開始しており、新製品とは併売の形になる。

サイズを抑えて性能向上

 新製品の特徴は4つある。容量と出力、寿命、施工のしやすさだ。「当社の家庭用蓄電池はネットワークに常時接続して使う。電池の状態を監視して異常を検知できる他、ユーザーがどの程度電池を利用しているのか、統計を取ることができる。今回、容量や出力を増やしたのは、ユーザーの要望があった他、このようなデータの解析の結果だ」(NEC)。

 新製品の寸法は従来製品よりも奥行きが10mm薄く、高さが85mm高い*2)。つまり体積はほぼ同じだ。「蓄電池の容量を従来の1.4倍に増やすために、筐体の内部にあった空きスペースを削減し、リチウムイオン蓄電池セルの数を約1.4倍に増やした。なお、蓄電池セルの容量も数%増えている」(NEC)。停電時にさまざまな家電(合計350W/h)を約18時間の稼働できるという。

 出力は3.0kW(一般負荷)であり、これは従来の1.5倍である*3)。「蓄電池には直流と交流を変換するパワーコンディショナー(PCS)が内蔵されている。PCSの性能を高めることで出力を増やすことができた」(同社)。エアコンや電子レンジなど消費電力の大きな家電を接続しやすい。

 新製品の寿命は15年と長い。従来の1.5倍だ。「業界最長であり、保証も付く。技術改善によって寿命の長い蓄電池セルを製造できるようになったことで、蓄電池全体の寿命が伸びた」(同社)。

*1) 北海道や沖縄、離島、寒冷地などを除く。次世代省エネルギー基準(2013年改正版)の地域区分では1と2、8の地域を除外する。
*2) 新製品の寸法は幅980mm×奥行き300mm、高さ1150mm(重量約150kg)。従来製品は980mm×310mm×1065mm(約173kg)。
*3)新製品は従来製品と同様、2系統の出力を備える。1つが一般負荷(100Vまたは200V)であり、もう1つが停電時に電力を供給する重要負荷(100V)だ。重要負荷の出力は1.5kW。

宅内配線を単純化して施工しやすく

 新製品の写真をみると、のっぺりした印象を受ける(図1)。従来製品では分かれていた蓄電ユニットとカバーを一体化したためだ。

図1 2015年1月下旬に出荷を開始する「小型蓄電システム」 出典:NEC

 従来の製品では、屋外に設置する蓄電池本体以外に屋内に2つの装置を設置する必要がある(図2)。操作パネル(図2右上)とシステムコントローラー(同右下)だ。蓄電池本体と有線接続しなければならない。「新製品では宅内の2つの装置を一体化した。このため、配線数が減った。本体が一体構造となったことと合わせて、施工時間が従来の50%に減る」(同社)。

図2 従来製品と周辺装置 出典:NEC

運転モードは4種類

 蓄電池システムを導入すると、月々の電気料金を節減でき、停電時にも電力が得られる。とはいえ、導入時にある程度、運転モードを設定しないと効果が薄くなる。

 新製品では4つの運転モードを選択できる。太陽光発電システムと併用しない場合は、通常運転モードか、ピークカット運転モードを選ぶ。通常運転モードでは充電する時間帯(主に夜間)と放電する時間帯(主に昼間)をユーザーが指定する。ピークカット運転モードでは、系統から購入する電力量の上限を決めておき、それを超えた場合に蓄電池から電力を供給する。

 太陽光発電システムと併用する場合は、経済モードかグリーンモードを選ぶ。経済モードでは太陽光発電で得た電力を可能な限り宅内で利用し、余った電力を売電する。グリーンモードでは余った電力をなるべく充電にまわし、満充電になったら売電する。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.