国産技術で水素を液化、量産時30円で提供可能に自然エネルギー(1/2 ページ)

川崎重工業は2014年11月19日、「水素液化システム」を開発し、液化試験を開始したと発表した。1日当たり約5トンの水素を液化することを可能にするシステムだ。2016年度中に顧客への提供を目指す。特徴は国内で唯一国産技術だけを利用し、産業規模で液体水素を生産できることだという。

» 2014年11月21日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
図1 兵庫県播磨町と播磨工場の位置

 川崎重工業は2014年11月19日、「水素液化システム」を開発し、液化試験を開始したと発表した。1日当たり約5トンの水素を液化することを目指したシステムだ。

 「試運転で水素がある程度の量、液化できることを確認した段階だ。−253度という条件下でバルブなどの機器類が安定に正常動作することも確かめた。今後は性能と信頼性、保守性を確認していく。2016年度に5トン/日という液化システムを顧客に納入できることを目標とする。その後はより高効率で大型の装置を開発していく」(川崎重工業)。

 同社の播磨工場(兵庫県播磨町新島)内の水素技術実証センターに立ち上げたもの(図1)。水素液化システムの設備が占める敷地面積は80m×40m程度(図2)。階段の右脇に見える円筒状の構造物がコア技術である「水素液化機」だ。直径4m、高さ13mある。「開発用のシステムであるため、敷地内には顧客に提供する際には不要な設備もある」(同社)。

図2 「水素液化システム」の外観(クリックで拡大) 出典:川崎重工業

水素サプライチェーン全体を提供

 同社が水素の液化技術に取り組む理由は、水素サプライチェーンに必要な全てのインフラ技術を自社で開発、製品化し、顧客に提供することを事業の柱に据えているからだ。

 水素サプライチェーンとは、水素の製造、輸送・貯蔵、利用である(図3)。今回は製造した水素を輸送に適した形に変えるインフラ技術を開発した。体積を約800分の1に縮めることで、水素輸送船の輸送能力をフルに利用するための技術である(関連記事)。

図3 水素サプライチェーンの全体像 出典:川崎重工業
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