ラッシュ時にも電圧を維持、年間21万kWhを節電蓄電・発電機器(2/2 ページ)

» 2014年12月25日 07時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]
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東芝のSCiB蓄電池を採用

 回生電力貯蔵装置を販売したのは千代田組。東芝が同装置を製造した(図4)。「2014年2月に受注し、同10月末に装置を納入した。当社が回生電力貯蔵装置を納入した初の事例である」(東芝)。

 装置は2つの部分に分かれており、蓄電池部の寸法は幅2.4m×奥行き1.3m×高さ2.1m、制御部は幅1.8m×奥行き2.3m×高さ2.3m。

図4 運河駅構内に設置した回生電力貯蔵装置(クリックで拡大) 出典:東芝

 受注の決め手は3つあるとした。「第1に一般的な回生電力貯蔵装置と比較して、価格が同じ場合、容量が約10倍*2)と大きいこと。第2に発火可能性が低いこと。第3に低温時の性能が高いことである」(同社)。

 同社が開発したSCiBリチウムイオン蓄電池は一度に出し入れできる電力(パワー)が大きく、安全性に優れ、寿命(充放電回数)が長いことをうたっている。このような特徴が回生電力貯蔵装置のような用途に合っていたということだ。

 電池システムの容量は387kWh*3)、出力は1000kWだ。架線側から見て直流1500V、667Aの電力を充放電できる(蓄電池側の電圧は607Vであるため、変圧が必要)。

 なお、東武鉄道は2012年7月に東武東上線の上福岡駅構内にある上福岡き電区分所(埼玉県ふじみ野市)に回生電力貯蔵装置(1800kW)*4)を初導入しており、今回は2番目の事例となる。

*2) 回生電力貯蔵装置(出力500kW)の蓄電池盤体積当たりの容量を計算した場合の比較数値。
*3) 日産自動車の電気自動車「リーフ」が内蔵する蓄電池(24kWh)に換算すると約16台分である。
*4) GSユアサが電池部を、東洋電機製造が制御部を製造した。

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