電車が生み出す回生電力を融通、減速中の車両から加速中の車両へ省エネ機器

電車がブレーキをかけた時に発生する「回生電力」を活用する取り組みが広がってきた。JR東日本は東京と東北を結ぶ常磐線の一部の区間に、回生電力を電車同士で融通できる仕組みを導入した。回生電力の利用率を高めることにより、電力会社から購入する電力を抑制する。

» 2014年01月30日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 JR東日本の常磐線は東京都心から茨城県や福島県を経由して宮城県まで通じる幹線である。その路線のうち、茨城県内にある藤代駅−土浦駅間に新しい電力融通の仕組みを導入して、1月30日から運用を開始する。

 常磐線では電車がブレーキをかけた時に発生する「回生電力」を利用して、電力使用量の削減に取り組んできた。ただし従来は電車から近隣の変電所に電力を送るだけで、大半は使われないまま余剰電力になっていた。新たに2つの変電所のあいだに「電力融通装置」を導入して、電車同士で回生電力を供給できるようにする(図1)。

図1 電力融通装置を使って回生電力を供給する仕組み。出典:JR東日本

 鉄道用の変電所の中間には「き電区分所」と呼ぶ設備がある。通常1つの電車に対しては1カ所の変電所からしか電力を供給できない仕組みになっていて、き電区分所で変電所を切り替えている。この区分所に設置した電力融通装置が2つの変電所からの情報をもとに、融通できる電力量を計算して、電車間の電力供給を制御する。

 JR各社の電車の多くは交流の電力で動き、別々の変電所から位相の違う電力の供給を受けている。このため電車同士で回生電力を融通することができない。電力融通装置で位相を変換することによって、電車間の電力供給が可能になる。

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