風車ブレードのひずみや温度を常時監視、光ファイバーを使う蓄電・発電機器

風車ブレード(羽根)が破損する事故は国内において珍しくない。事故を予測し、検出する監視システムが必要だ。スペクトリスはドイツHBMが開発した風力発電システム用の常時監視装置「WindMETER」の販売を2015年3月に開始。電磁ノイズに強く、信頼性が高いという。

» 2015年03月26日 11時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 スペクトリスはドイツHBMが開発した風力発電システム用の常時監視装置「WindMETER」の販売を2015年3月に開始した。風車ブレード(羽根)内部に複数のセンサーを設置し、電気ケーブルを利用せずに測定データを取得できることが特徴。

 日本の気象環境は欧州などよりも厳しく、より堅牢で信頼性の高い風力発電システムが必要だ。このため、ブレードの着氷や凍結を検出でき、ローターのバランスの把握に役立ち、予防保守に必要なデータを取得できる監視装置が有用だ。

 WindMETERは主に3つの部分からなる(図1)。ブレード内部に設置する複数の光ファイバーセンサー(FBGセンサー)、センサーをサンプリングするためにブレードハブ内へ設置するインテロゲーター、データを収集・監視するソフトウェアWindMONITORだ。「設置するひずみセンサーや温度センサーの数によって導入費用が変わる。基本構成(最小構成)の場合の価格は250万円」(スペクトリス)。

図1 WindMETERの設置位置(左)と、2つの装置(右) 出典:スペクトリス

 FBGセンサーは温度やゆがみの変化を、内部の光ファイバーを伝わる光の波長の変化として検出する受動部品。このため、電磁ノイズ耐性が高い。ひずみセンサーの感度は1.2pm/με、分解能は1με、精度は±8με。温度センサーの感度は10pm/度、分解能は0.1度、精度は±1度。

 インテロゲーターは内部に参照値を持ち、10ミリ秒ごとに自動校正をくり返すために長期間高い精度を維持できるという。センサーの数量が数十個の場合でも、1秒間に最大100回の同時スキャニングが可能。周辺温度が−20度から60度の範囲で動作する。

 ステンレス筐体に納められており、保護等級はIP65。寸法は343mm×260mm×144mm、重量は8kg。冷却ファンが不要であるため、消費電力は15Wと少ない。

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