エネルギーミックスの改善で温室効果ガスを削減、2030年までに26%法制度・規制(2/2 ページ)

» 2015年05月04日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]
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電力由来のCO2排出量を34%削減

 経済産業省が策定したエネルギーミックスの原案では、LNG(液化天然ガス)・石炭・石油を合わせた火力発電の比率を震災前の63%から2030年に56%まで削減する(図4)。残る44%はCO2を排出しない「ゼロエミッション電源」の再エネと原子力で供給する構成だ。

図4 2030年のエネルギーミックス。出典:経済産業省

 このエネルギーミックスを実現できると、電力に由来するCO2排出量は2013年比で34%も減り、エネルギー全体でも25%の削減率を達成することができる(図5)。CO2以外のメタンや代替フロンガスなどの削減と合わせて、約束草案に盛り込む26.0%の削減率になる。

図5 エネルギーの生産・消費に伴うCO2排出量(左)、電力によるCO2排出量(右)。出典:経済産業省

 世界全体で見ると、日本が排出する温室効果ガスの絶対量は多くない。2012年の時点で米国の5分の1にとどまり、新興国の中国やインドと比べてはるかに少ない(図6)。とはいえ欧米の先進国が削減効果を上げているのに対して、日本は震災後に増加傾向が続いている。

図6 主要国の温室効果ガス排出量(画像をクリックすると拡大)。出典:中央環境審議会・産業構造審議会(IEAの資料をもとに作成)

 1997年に京都で開催した「COP3」で初めて、温室効果ガスの削減目標が国際条約として締結された。有名な「京都議定書」で、日本は2008〜2012年の5年間に1990年比で6%の削減目標を掲げていた。

 しかし震災の影響がなくても目標値には遠く及ばず、開催国としての責任を果たせていない状態だ。2030年に向けた新たな削減目標は達成しないわけにはいかない。対策の柱になるエネルギーミックスの実現性が問われることになる。

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