愛知県名古屋市で小型電気自動車(EV)を郵便集配作業に活用する全国初の実証実験がスタートする。トヨタ車体の「コムス」を4台導入して、実際の郵便配達における小型EVの運用や実用性を検証していく。
名古屋市で2015年6月4日にスタートするこの実証実験は、国土交通省の「超小型モビリティ認定制度」による認定のもと、トヨタ車体、名古屋市、日本郵便の3者が共同で取り組むものだ。同制度を活用して公道で小型EVの実証実験を行う事例は増えているが、小型EVを郵便の集配作業に利用する例としては全国初となる。
小型EVはトヨタ車体の「コムス」を使用する。名古屋市内に位置する名古屋中央郵便局、昭和郵便局、名古屋北郵便局、名古屋中央郵便局に1台ずつ、合計4台のコムスを配備(図1)して、名古屋市内における郵便集配作業に活用していく。
コムスは出力5.4kWh(キロワット時)の鉛蓄電池を搭載しており、満充電時には都市部を約50km走行できる。駆動モーターの定格出力は0.59kWで、道路交通法においてはミニカーに分類される。この場合に規定される最大積載量は30kgだが、今回の実証実験では軽自動車扱いの認定を受け最大積載量を60kgに拡張。さらに車両後部に荷台を取り付けるなどのカスタマイズを施している。
日本郵便は2013年度時点で、軽自動4輪車を2万8807台、小型貨物自動車を2552台、原動機付自転車を含む自動二輪車については8万7553台を郵便事業用車両として保有している。同社は2010年にベンチャー企業のゼロスポーツが開発するEVの導入を検討するなど、以前から環境対策として郵便事業用車両をCO2フリーなEVに置き換えるための取り組みを進めている。
ゼロスポーツについては破談となったが、その他にも2011年に日産自動車の小型商用車「NV200」をベースとするEV「e-NV200」を、実証運行として2カ月間限定で横浜市内での郵便集配業務に利用するといった取り組みを行っていた(関連記事)。
配送業務では車両の始動、停止が多いため、ガソリン車やディーゼル車をEVなどに置き換えることができれば高いCO2の削減効果が見込める。その一方で、1充電当たりの走行可能距離と、実際の配送業務のバランスなどの検証を行う必要がある。今回の名古屋市での実証実験ではこうした運用面に加え、軽自動車よりさらにコンパクトであるといった小型EVの利便性や新たな使い方のニーズを、実際の配送業務の中で検証していく狙いだ。
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