大林組と川崎重工が認証を受けた「水素CGS活用スマートコミュニティ技術開発事業」では、水素を燃料とする1MW(メガワット)級ガスタービンを有する発電設備(水素CGS)を用いて、地域レベルでの新エネルギーシステム(統合型EMS)の技術開発・実証を行う。
水素・天然ガス混焼ガスタービンの燃焼安定性の検証、双方向蒸気融通技術の確立、統合型EMSの経済的運用モデルの確立などにも取り組む計画だという。スマートコミュニティの実証実験予定地については「現在選定中で決まってはいない」(橋本氏)としている(図6)。
三菱日立パワーシステムズと三菱重工業が認証を受けた「低炭素社会実現に向けた水素・天然ガス混焼ガスタービンの発電設備の研究開発」については、水素だけを使うのではなく、水素を一部利用することで既存の設備の低炭素化を進めようという狙いのものだ。
具体的には、既存の発電所に適用可能な天然ガス・水素混焼ガスタービンの燃焼器の研究開発を行い、水素混焼プラントの基本設計の確立を目指す。また、安定的な天然ガス・水素混焼運転のために、燃焼解析の高度化、要素試験、単缶燃焼器実圧燃焼試験などに取り組み、機器の改良設計・シミュレーション、水素混焼プラントの基本設計を行う。
2015年度に基礎検討を行い、2016年度以降はシミュレーションや試験に費やす計画としている。現状では「200〜300MWのガスタービンで、水素の混入比率は5〜20%を想定している。また燃焼温度は1500〜1600度で、高効率で低公害な混焼運転を確立したい」(三菱日立パワーシステムズ)としている(図7)。
水素社会の実現に向けた研究開発プロジェクトとしては内閣府が主導する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の「エネルギーキャリア」が活動を行っており、その内のいくつかは今回のNEDOのプロジェクトと共通のテーマのものが含まれている(関連記事)。
これらのすみ分けについては「SIPはより要素技術に近い技術開発が中心だが、NEDOで進める研究開発や実証などより商用化に近い領域で行うものだ。その意味ですみ分けは可能だと考えている。ただ、今後の研究開発の進行次第で協力できるものについては、共同で進めることなども検討している」と橋本氏は述べている。
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