山梨県が太陽光発電施設の設置ガイドライン策定、防災・景観・環境の観点で:法制度・規制(2/2 ページ)
山梨県の新たなガイドラインでは、立地を避けるべきエリア、慎重な検討が必要なエリアを明確に示しており、事業実施の立地場所についての検討を求めている。
自然公園法に定める国立公園の特別保護地区、第一種特別地域などは、法令上開発行為が厳しく制限されているが、それ以外の地域については、必要な手続き行い、一定の基準を満たすことで事業実施は可能となる。ただ、災害や景観問題、自然環境への影響などへの配慮を求めるとしている。
立地を避けるべきエリアとしては、以下の地域が指定されている。
- 富士山北麓世界遺産景観保全地区(関連記事)
- 自然公園の特別地域および普通地域
- 自然環境保全地区および自然記念物
- 保安林
- 砂防指定地などの災害危険区域
- 農用地区域など
- 風致地区(都市の風致を維持し、住みよい街づくりを進めるため都市計画法で定められた地域地区)
- 文化財指定エリア
- 市町村景観計画における重点地区など
- その他、鳥獣保護区特別保護地区、山梨県希少野生動植物種の保護に関する条例に基づく管理地区など
一方で、立地に慎重な検討が必要なエリアとしては以下の地域が指定されている。
- 災害のリスクの高いエリア
- 地域森林計画対象民有林
- 市町村景観計画の景観形成拠点など
- 重要な観光施設などに近接するエリア
- 埋蔵文化財包蔵地
立地面での配慮を求める一方、建築時に守るべき項目なども、防災・景観・環境の観点から明確化して示す。特に景観面では、例を示しながら、分かりやすく基準を示している。
太陽光モジュールが周囲と調和した色彩を求める他、モジュールやフレームなども低反射のものを使用するよう推奨する(図3)。
図3 太陽電池モジュールと環境配慮レベルの例(クリックで拡大)※出典:山梨県
さらに、道路や民家などから見えないようにフェンスなどで目隠しすることなども進めている。山地や丘陵地に設置する場合には、伐採により樹木の連続性をなくさないことや、太陽光発電設備が突出しないことなどが、条件として示されている(図4)。
図4 尾根線上や丘陵地、高台における土地形状に違和感を与える例 ※出典:山梨県
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