スウェーデン・ユッカスヤルヴィで有名な氷のホテル「ICEHOTEL」。毎年冬の間だけ宿泊可能だった同ホテルが、太陽光発電により年中無休になるかもしれない。
「ICEHOTEL」はスウェーデン北部で、北極圏に入って200キロメートルほど北にあるユッカスヤルヴィで営業している。同ホテルで世界的に人気なのが、毎年冬の間だけ営業している氷と雪でできた氷のホテル(アイスホテル)である(図1)。
ただし、今までは氷が解ける夏の期間はアイスホテルで宿泊することはできず、一般的なコテージでの宿泊となっていた。過去26年間、ICEHOTELでは毎年、近くのトルネ川が凍れば、氷によるホテルを建設し、解ければアイスホテルでの営業を終了するということを続けてきた(図2)。
こうした夏と冬のサイクルについに変化が起ころうとしている。ICEHOTELでは、新たに1200平方メートルの面積を持ち、20部屋のスイートルームを用意した新たな施設の建設を計画している。この施設に太陽光発電設備を設置し、夏の間はこの電力を使って冷凍することで氷を維持するようにするというのだ。さらに冬の間は従来のアイスホテルと加えて、アイスホテルの大きさを3倍にすることができるという(図3、図4)。
なぜ、これほどの電力を生み出すことが可能であるかといえば、白夜があることが大きな要因だ。白夜とは、北極や南極に近い地域で、夜になっても太陽が沈まない現象である。北極圏のユッカスヤルヴィにあるICEHOTELでは、年間で100日、太陽が沈まない日があるという。この白夜を生かして一日中太陽光発電設備で発電を続けることができるため、氷を冷やす電力を確保できるという仕組みだ。この白夜を生かして発電するというアイデアは決して新しいものではないが、技術面での課題があり現在まで実現されてはいなかった。
この新しいホテルは2016年12月のオープンを計画しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.