ユニリーバは、なぜ全ての電力を再生可能エネルギーで賄うのか自然エネルギー(2/3 ページ)

» 2015年12月04日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

企業が再生可能エネルギーを採用すべき理由

 企業が再生可能エネルギーを採用すべき理由について、今回は2015年12月3日に開催された記者向けパネルディスカッション「産業界の再生可能エネルギー活用動向と企業の役割について」の内容からお伝えする。

 パネリストとして登壇したのは、風力発電を中心に再生可能エネルギーの動向などに詳しい足利工業大学 理事長・学長の牛山泉氏、グリーン電力証書の運営を行う日本自然エネルギー 代表取締役社長の寺腰優氏、環境保全団体であるWWFジャパンで気候変動・エネルギーグループ プロジェクトリーダーの池原庸介氏、ユニリーバ・ジャパン代表取締役社長兼CEOのフルヴィオ・グアルネリ氏の4人。モデレーターは、グリーンエネルギー認証センターのセンター長である工藤拓毅氏が努めた。

ビジネスと持続可能な社会に向けた貢献がウィンウィンになる時代へ

photo WWFジャパンで気候変動・エネルギーグループ プロジェクトリーダーの池原庸介氏

 まず、WWFジャパンの池原氏は、既に再生可能エネルギーの活用や環境問題への取り組みは「我慢してやるべき課題」ではなくなりつつあると主張。「ビジネスと環境への取り組みがウィンウィンの関係になる時代だ。お互いにとってプラスになることを考える必要がある」(池原氏)とし、開催中のCOP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)に向けた活動として「Road to Paris 2015」の中のコミットメントについて説明した。

 「Road to Paris 2015の中では企業や団体が参加してそれぞれの環境活動についてコミットメントをしようという取り組みがある。主に7つに分かれているが、そのうち1つが使用電力を100%再生可能エネルギーで調達するというものだ」(池原氏)(図1)。

photo 図1 紹介されているコミットメント(クリックでWebサイトへ) 出典:CDP

日本は再生可能エネルギーのリッチカントリー

photo 足利工業大学 理事長・学長の牛山泉氏

 「日本は実は再生可能エネルギーのリッチカントリーである」と強調したのが足利工業大学の牛山氏である。牛山氏は「日本の再生可能エネルギー関連設備の発電能力を全て足せば、原子力発電所を全て稼働させた場合の原発の発電量合計に対し、44倍という大きな数字になる。排他的経済水域のエリアは世界6位であり、地熱発電関連技術は世界1位であるなど、環境面や技術面では非常に恵まれた環境となっている」と述べている。

 一方で日本で再生可能エネルギーの導入率が悪い理由として「環境アセスメントの期間が長いという点と、発電をしても送電線が融通できない点などが挙げられるだろう」と牛山氏は述べている。

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