買うより再利用へ、エプソンが描くオフィスの紙の将来像省エネ機器(2/3 ページ)

» 2015年12月15日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

紙を機械的衝撃で粉砕

 Dry Fiber Technology(以下、DFT)は、まず入力した紙を機械的衝撃で粉砕して綿のような繊維状にし、その中で色が付いている部分を取り除く(図3)。次にこの繊維に結合素材を組み合わせてシート状にする。この結合素材によって、作る再生紙の結合強度や白色度、色合いを調整する仕組みだ。これは一般的なプリンタのインクのように交換式のカートリッジで補給する仕組みとなっている。

 結合素材を混ぜ合わせた後は加圧して成型を行い、最後に適切な大きさに裁断して完成となる(図4)。これらの一連の工程が全てPaperLabの中で行われる。再生紙1枚の製造には古紙1.2〜1.3枚程度を利用するという。

図3 「PaperLab」で裁断して繊維状になった紙(クリックで拡大)

 ここまでDFTの概要を紹介したが、個々の工程における技術の詳細は明らかにされていない。水を一切使用しない中で、技術的なポイントとなりそうな結合素材についても同様だ。エプソンは「まだ開発段階なので技術の詳細は明かせないが、これまでエプソンがプリンタ事業の中で培ってきた、紙に関しての知見が生かされている」としている。さらにこのDFTの技術を応用して、粉砕した繊維状の紙を吸音材や吸収剤として利用することも検討しているという(図4)。

図4 粉砕した繊維状の紙の活用イメージ(クリックで拡大)

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