2016年度のエネルギー関連予算は5.3%増、“オイルショック後”水準の省エネへ補助金(2/2 ページ)

» 2016年01月05日 11時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]
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再生エネも増額、ポテンシャル調査や次世代技術開発を促進

 再生可能エネルギー分野は前年度比6.1%増の1366億円を計上した。国内地域における再生可能エネルギーのポテンシャル調査や開発支援、実証事業の推進補助費として同25%増の403億円を充てる。この中で最も予算額が大きいのが、安定的な発電が行いやすいメリットがあるものの、資源量の把握がまだ進んでいない地熱資源の開発に向けた事業補助費だ。100億円の予算を計上し、大規模案件を中心に支援を進めていく計画である。

 2016年度からの新規項目としては、老朽化した水力発電設備の更新やエネルギーの地産地消に向けたプロジェクト、福島県沖で2016年度から始まる世界初の複数基による浮体式洋上風力発電事業の研究費などが加えられている(図2)。この他には再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)の賦課金減免措置費として483億円、発電量の精緻な予測や発電コストの低減に向けた次世代技術の開発費として480億円を計上した。

図2 福島県沖で計画されている浮体式洋上風力実証の概要 出典:経済産業省

 次世代エネルギーとして期待がかかる水素エネルギー分野については、前年度比2.3倍となる279億円を計上した。2020年に140万台の普及を目標とする家庭用燃料電池「エネファーム」の導入や、燃料電池車の普及に必須の水素ステーションの整備補助費に合計157億円を充てる。残りの122億円は水素サプライチェーンの構築に向けて求められる水素の輸送コストの低減に貢献する技術や、再生可能エネルギーを利用したCO2フリーな水素製造といった次世代技術の研究開発費として使用する。

 一方でこうした次世代エネルギーだけでなく、現在多く利用されている化石燃料に関連した省エネおよびCO2排出量削減技術の開発にも注力していく。次世代の高効率な石炭火力発電として期待されている「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」(図3)の開発や、CO2の回収貯留技術の実用化に向けた実証費などとして230億円を計上している。

図3 広島県ですすめられているIGFCの実証事業。55%程度の発電効率をめざして商用化を進める計画だ 出典:経済産業省
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