米国製の「スマートゴミ箱」を使った実証実験が東京都内の大学のキャンパスで始まった。ゴミ箱の上面に太陽光パネルを搭載して発電しながら、内部のゴミを自動で圧縮したり、ゴミの蓄積状況を無線で送信したりすることができる。ゴミの収集作業を効率化してスマートシティの構築に生かす。
東京・港区にある東海大学のキャンパス内に「スマートゴミ箱」を設置して、1月21日から実証実験に取り組んでいる(図1)。スマートゴミ箱は米国のBig Belly solar社が開発したもので、国内ではIT(情報技術)サービス会社の日本システムウエアが販売中だ。
スマートゴミ箱の特徴は自動でゴミを圧縮しながら、ゴミの蓄積状況を携帯電話のネットワークを使って無線で送信できる点にある。可燃ゴミやペットボトルに適した圧縮型の「BigBelly」と、缶や紙のゴミに利用できる非圧縮型の「SmartBelly」の2タイプがある(図2)。
圧縮型はゴミが一定量を超えると、約5分の1に圧縮することができる。非圧縮型はゴミの蓄積状況を無線で送信するだけだが、蓄積容量は圧縮型の2倍近くある。東海大学では2つのタイプを組み合わせて設置した。ゴミ箱の高さは両タイプともに126cm(センチメートル)ある(図3)。非圧縮型は奥行きが9cm短い。
電力源はゴミ箱の上面に搭載した太陽光パネルだ。パネルの表面をプラスチックでカバーして耐久性を高めている。発電能力は20W(ワット)で、30Wに拡張することもできる。内部にある蓄電池から電力を供給する。
ゴミ箱に内蔵したセンサーが蓄積状況を感知してデータを送信することで、モニタリングシステムを使ってリアルタイムにゴミ箱の状況を把握できる(図4)。米国やヨーロッパでは自治体や大学がスマートゴミ箱を導入して、ゴミの回収頻度を減らす効果を上げている。
東海大学では多数の機器にセンサーを組み込んでネットワークでデータを収集・分析するIoT(Internet of Things、モノのインターネット)の導入事例として効果を検証する予定だ。地域のエネルギーを効率的に利用できるスマートシティの構築に向けてIoTの技術を役立てる狙いがある。
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