このほかに審査を通過した中では、福岡県の「北九州パワー」の事業体制がユニークだ。北九州市が24%を出資して2015年12月に設立した。出資者には安川電機や富士電機といった大手電機メーカーのほかに、地元の情報システム会社や金融機関が加わって地域主体の電力事業を展開していく。
エネルギーの地産地消を推進するために、北九州市が運営するごみ焼却場の電力を中心に販売する点が特徴だ(図4)。4月の事業開始時点(STEP 0.5)では、2カ所のごみ焼却場で発電した電力をベース電源に使いながら、需要の増加で不足する分を他の事業者から調達する。ごみ焼却場の供給力は2カ所の合計で5000kW(キロワット)になり、外部から1万kWを調達して市内の公共施設に販売する予定である。
さらにごみ焼却場を1カ所追加してから、供給先を民間企業にも広げて本格的に電力小売事業を拡大する(STEP 1.0)。数年後には2万kW級の発電設備をベース電源に加えることも決まっている(STEP 2.0)。
北九州市では臨海工業地帯を対象に、風力・太陽光・火力発電を集中させる「北九州市地域エネルギー拠点化推進事業」を2013年度から実施してきた(図5)。その中には洋上風力発電所を建設する計画も含まれていて、運転開始後は北九州パワーの電源に加える方針だ。
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