日本初の空港内水素ステーションが登場、1時間でFCV6台に供給可能蓄電・発電機器

水素社会の早期実現に向けて商用水素ステーションの整備に取り組んでいる岩谷産業は、このほど空港施設に隣接した水素ステーションとしては日本初となる「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」を開設した。

» 2016年02月03日 15時00分 公開
[長町基スマートジャパン]

 「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」(大阪府田尻町)は、新関西国際空港が「環境先進空港」を目指して推進している「スマート愛ランド構想」の柱の1つである「水素グリッドプロジェクト」の一環として計画を進めていたもの。新関西国際空港から土地の提供を受け、岩谷産業が建設を行った。

 敷地面積は2479平方メートル。建物は空港内の水素ステーションであることから、翼をイメージしたキャノピー(屋根)を採用し、斬新なデザインとなっている。設備としては液化水素貯槽、ドイツのLinde社製水素圧縮機、蓄圧設備、ディスペンサーなどをそろえている。

photo 図1 空港内水素ステーション「イワタニ水素ステーション 関西国際空港」の全景 出典:岩谷産業

 水素は、同社の液化水素製造拠点であるハイドロエッジ(大阪府堺市)からローリーで輸送し供給する「液化水素オフサイト方式」を採用する。供給能力は燃料電池自動車(FCV)で300ノルマル立方メートル/時、1時間当たりFCV6台の満充填(じゅうてん)が可能だ。充填圧力は70メガパスカル(約700気圧)となっている。また、同ステーションには、大型のデジタルサイネージを設置したイベントスペースを併設しており、今後は、セミナーや見学会など、水素エネルギー社会の早期実現に向けた啓発活動を行う場として積極的に活用して行く予定(図2)。

photo 図2 水素ステーションのシステムフロー 出典:岩谷産業

 関西国際空港で進められている「水素グリッドプロジェクト」では、この他にも、環境省の実証事業として、2015年2月より国際貨物エリア内にて燃料電池フォークリフトおよび水素供給設備の実証試験を行っており、同社は水素供給設備の開発・設置と燃料となる水素の供給を担当している。現在は1台だけでの実証試験だが、今後、順次台数を増やしていく計画で、水素の供給能力増強に向けた検討を進めている。

 岩谷産業ではこれまでに、四大都市圏を中心に全国12カ所の水素ステーションを開所しており、今回の開所は13カ所目となる。

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