「今の東京電力のプランより安い」を訴えても、東京電力や東京ガスなどと比較して、首都圏に住む一般家庭に中部電力が広く認知されているとはいえない状況だだ。カテエネプランへの切り替えは中部電力のWebサイトからも行えるが、顧客確保には各家庭により直接的にアプローチが行える販売網の確保も必要になってくる。そこで中部電力では首都圏エリアへの進出に向けて、提携戦略を進めている。
そのうちの1社が家電量販店であるエディオンだ。同社は東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に現在8カ所の店舗を持っており、中部電力の代理として来店した顧客に対してカテエネプランの販売を行っていく。
その他の提携先とは、電気とその他のサービスを組み合わせた“セット割引”によるメリットで首都圏の顧客にカテエネプランをアピールしていく。1つが電気とインターネットとのセット割引だ。こちらはインターネットプロバイダーのBIGLOBE(ビッグローブ)と提携して、専用のセット割引メニューを提供していく。この料金プランの詳細については2016年3月をめどに発表する予定だ。
もう1つがガスと組み合わせたセット割引の提供だ。中部電力は既に国際石油開発帝石(INPEX)を通して、首都圏の都市ガス9社に対して電力の卸売販売を行うことを発表している。電気とガスのセット料金メニューについては、都市ガスごとに異なるものになる予定だ。
この9社が現在抱える顧客数は約30万で、中部電力このうち2016年度は電気とガスのセット販売により約2万件の顧客を獲得を目指す方針だ(関連記事:東京電力管内に攻め込む中部電力、首都圏ガス9社に電力を卸売り)。
さらにこの9社に中部電力と直接提携する角英ガス、大東ガスの2社が加わり、合計11社、40万件の顧客に対してカテエネプランを提案できる体制を構築した。都市ガス各社は、首都圏で家庭に直接アプローチできる販売網を持っているという点が提携の大きなメリットの1つだ。中部電力の首都圏における2016年度の顧客獲得目標は10万件だが、首都圏は小売全面自由化における最大の激戦エリア。まずは提携先の都市ガス各社が抱える顧客をどこまでしっかりと確保できるかが鍵となりそうだ(図4)。
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