激戦の首都圏に挑む中部電力、決め打ち料金プランと提携戦略で10万件獲得へ電気料金の新プラン検証シリーズ(17)(1/2 ページ)

2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向け、「首都圏エリアでの顧客拡大」を重要戦略の1つとして掲げる中部電力。首都圏向けの料金プランは、ターゲットを比較的電力使用量の多い家庭に絞り込んだ。課題となる認知度や販売網は都市ガスなどとの提携戦略でカバーして、初年度は10万顧客の獲得を目指す計画だ。

» 2016年02月08日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

連載:「電気料金の新プラン検証シリーズ」

 中部電力は2016年4月から始まる電力の小売全面自由化に向け、首都圏向けの新料金プランを発表した。ターゲット層を電力使用量の多い家庭に絞り込み、東京電力の現行プランより最大5%安くなるシンプルな料金メニューで新規顧客の囲い込みを狙う。同年2月1日より申込受付を開始しており、2016年度は10万顧客の獲得を目指す計画だ。

 首都圏向け料金プランの名称は「カテエネプラン」。東京電力の現行プランである従来電灯Bで50/60A(アンペア)を契約、もしくは従来電灯Cを利用している店舗など、電力使用量が多いユーザーを対象にしたプランだ。ターゲット層を利幅の大きい顧客に絞ったプランともいえる。

 カテエネプランを東京電力の現行プランと比較した場合、特徴と言える点は2つある。1つ目が基本料金で、カテエネプランでは8kVA(キロボルトアンペア)までを1契約、1201.2円に設定した。8kVAを超える場合はさらに1kVAにつき280.8円が加算されていく。東京電力の従来電灯Cで契約量が8kVAの場合の基本料金は2246.4円だ。カテエネプランでは1201.2円なので、このユーザーが乗り換えるとまず基本料金だけで半額になる計算だ(図1)。

図1 カテエネプランと東京電力の従来電灯Cの基本料金比較 出典:中部電力

 もう1つの特徴が、使用電力量に応じて支払う電力量料金の単価を一律にした点だ。東京電力の従来電灯Cを含め、電力両料金は使用量に応じて料金単価を2〜3段階ごとに設定している場合が多い。カテエネプランではこれを一律27.71円に統一した。東京電力の従来電灯Cと単価を比較すると、300kWhまでの料金は従来電灯Cの方が安いが、300kWhを超えると2円以上安くなる。つまり電気を多く使う家庭であればあるほど、従来電灯Cと比較して電気料金がお得になっていくという仕組みだ。

図2 カテエネプランと東京電力の従来電灯Cの料金単価を比較したグラフ 出典:中部電力

 カテエネプランへの切り替えには、中部電力のWeb会員サービス「カテエネ」に登録する必要がある。登録すると電気料金や使用量の確認、コラムの閲覧などで「カテエネポイント」が付与される。これは提携ポイントサービスや商品との交換、さらに100ポイント(100円)単位で電気料金の支払いに充当するといった使い道が選べる(関連記事:1000万の顧客を守れ、独自ポイントで勝負する中部電力)。

 中部電力の試算ではこのカテエネポイントの付与などを併せると、月平均400kWh程度の電力を使用する家庭であれば、東京電力の従来電灯Cよりカテエネプランに乗り換えた方がお得になるという。従来電灯Cで8kVA契約、月平均使用量が510kWhの家庭が乗り換えると約2%(年間4020円)、同じく15kVA契約、970kWhの家庭の場合で約5%(年間1万6764円)ほど安くなるとしている(図3)。

図3 東京電力の従来電灯Cから乗り換えた場合の料金比較(クリックで拡大) 出典:中部電力
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