連載
» 2016年03月22日 07時00分 公開

電気料金の新プラン検証シリーズ(29):住宅に0円で発電設備を提供、太陽光を活用した全国初の電力小売モデル (3/3)

[陰山遼将,スマートジャパン]
前のページへ 1|2|3       

5年後に10万戸に導入を目指す

 日本エコシステムではじぶん電力のターゲットとなるユーザー層についてどう捉えているのか。資源エネルギー庁の調査によれば家庭用太陽光発電システムの導入余地がある既築住宅は全国で1200万戸ある。このうち現在設置が進んでいるの12.1%に相当する170万戸にとどまっている。固定買取価格制度(FIT制度)が始まってから産業用の太陽光発電設備は急速に拡大したが、10kW未満の住宅向けシステムの普及は伸びているとはいえない状況だ。

 一方、日本エコシステムでは今後2年の間に自宅に太陽光発電設備を購入したいというユーザー数は52.8万戸、そして興味はあるが未設置・非購入となっているユーザー数を210万戸と見込んでいるという。石原氏は「ユーザーが太陽光発電システムの設置に踏みとどまってしまう理由の大きな要因が『初期費用の高さ』にある。そこでじぶん電力ではこうした『興味はあるが、費用の問題で導入を断念していた』というユーザーを潜在顧客と捉え、開拓を進めていく」と語っている。

 対象顧客としては、太陽光発電システムの設置を必要とするため、基本的には戸建住宅を中心としつつ、低圧配線を利用する幼稚園などの小規模な法人施設も対象に顧客開拓を進めていく方針だ。初年度から2年間の合計で約1万件の獲得を目指す。初年度は4000件、次年度は6000件の獲得を目指し、そして5年後には10万件まで拡大したい考えだ。

将来は外部資金の活用も視野に

 じぶん電力はまず「無償で太陽光発電システムを設置する」というビジネスモデルの特性上、大きな初期投資が必要になる事業だ。5年後に10万件と考えた場合、合計で数千億円規模の投資額が必要になることも想定される。

 日本エコシステム側の収益は毎月の電気料金がベースとなるが、もう1つの収益源の柱としてFIT制度による売電も活用する。日中などに太陽光発電システムで発電する電力量が、その住宅の電力使用量を上回る場合、その余剰電力を10年間にわたって余剰売電する仕組みだ(図4)。

図4 日中の余剰電力は売電する(クリックで拡大) 出典:日本エコシステム

 石原氏は「じぶん電力は一般的な小売電力事業と異なり設備施工も必要になる。こうした部分も見込んで、2年間で1万棟という目標を掲げた。5年後に10万棟を実現するには資金調達なども必要になると考えているが、まずこの2年間の中でコスト削減できる部分などを洗い出し、将来的に外部資金を活用しても事業運営が成り立つ利益率を目指していく」と語っている。

 日本エコシステムでは今後、通常の太陽光発電システムの販売・施工と、無償でシステムを設置し電気料金や売電収入で利益を得るじぶん電力の2つの事業を同時並行で運営していくことになる。

 石原氏は「ユーザーのニーズもビジネスモデルも異なるため、どちらがわれわれにとって良いということは一概にはいえない。しかし太陽光発電市場がグリッドパリティを迎え、本当の意味で太陽光が『電源』となるためには、じぶん電力のような『システムではなく電気を売る』といったモデルに移っていくのは必然だと捉えている。米国では先行してこうしたモデルが確立しつつある。日本でも時代の状況としてはこうした新しいモデルに移っていくのではないかと考えている」と述べている。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.