Looopは東日本大震災を契機として設立されたエネルギーベンチャーだ。太陽光発電設備を自作できる「MY発電所キット」などを展開し成長してきたが、2016年3月に電力小売に参入することを発表。発電から小売までを担う総合エネルギー企業へと進化を進めようとしている。同社は再生可能エネルギーの利用拡大を大きな目標としているが、今回のプレスセミナーでは電力小売全面自由化が再生可能エネルギーの普及にどのような影響を与えるのかについて有識者のパネルディスカッションを行った。
登壇したのは、Looopの事業本部企画開発部 部長の小嶋祐輔氏、電力価格比較サイト「エネチェンジ」を運営するエネチェンジ 副社長の巻口守男氏、地域新電力の創出支援を行っているスマートテックの電力・インフラ事業部 部長の岡野太郎氏、市民団体として再生可能エネルギーの普及を推進している国際環境NGO FoE Japan パワーシフト事務局の吉田明子氏の4人である。
電力小売全面自由化と再生可能エネルギーの関係性について、問題点を提起したのがエネチェンジの巻口氏である。
エネチェンジの巻口氏は40年間に及ぶ電力業界での経験から「再生可能エネルギーで全ての電力を賄うのが究極の理想であることは間違いなくそれは当然の話だ。しかし再生可能エネルギーには『自分で制御できず、変動する』という課題がある。その議論なしに再生可能エネルギーを単純に増やすというのは難しい」と課題を強調した。
再生可能エネルギーは、太陽光にしても、風力にしても自然の力に頼った発電である。そのため、晴れて風が吹いている状況では、太陽光や風力も十分に発電でき、必要な電力量を上回る発電量を獲得できるが、雨が降ったり、風が吹かなかったりした時には電力が不足するという状況が発生する。この状況をカバーし、停電などの状況が起こらないようにするために用意されているのが「バックアップ電源」である。現状では発電のLNG火力発電所などを使うことが想定されている(図1)。
巻口氏は「再生可能エネルギーによる発電事業者を増やそうと思えば、普段は使わない設備であるバックアップ電源設備を誰が構築し誰が持つのかということを合わせて考えなければ、増やしてはいけない」と巻口氏は述べた。
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