電力全面自由化が再生可能エネルギーに与える影響は何か法制度・規制(2/4 ページ)

» 2016年03月24日 07時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

発電事業者へのネガティブな影響も

 一方で、電力小売全面自由化が発電事業者における再生可能エネルギーの位置付けにもプラスになると主張するのが、FoE Japanの吉田氏やLooopの小嶋氏、スマートテックの岡野氏である。

photo 国際環境NGO FoE Japan パワーシフト事務局の吉田明子氏 2002年からFoE Japanでインターン・ボランティア。リサーチ会社勤務を経て2007年にFoE Japanスタッフとして勤務。気候変動・エネルギー政策担当。エネルギー政策に市民の声を伝える活動や、ドイツなどとの連携、電力自由化に向けたパワーシフト・キャンペーンを実施している

 FoE Japanの吉田氏は「電力小売自由化により、一般消費者もどの電力事業者から電気を買うのかという選択肢が生まれることになる。小売電気事業者がどういう電力を調達しているのかというのを見て、再生可能エネルギーによる比率が高い電力会社を選ぶこともできる。消費者がより多くこうした電力会社から電力を購入することで、電力会社の対応や社会の環境を変えていけるかもしれない可能性が出てきた」とポジティブな影響について紹介する。

 また、同様にスマートテックの岡野氏も「電力小売全面自由化は小売事業者間の競争の始まりに見えるが、実は発電事業者が競争する時代に入ったことも示している。より多く売る小売事業者により付加価値のある電力を買ってもらうということが必要になる。その1つとして再生可能エネルギーによる電力は使える」と語っている。

 さらにLooopの小嶋氏も「従来、当社で太陽光発電設備を販売してきても、購入者はFITで売電することだけでそれ以上は考えていない様子だった。小売全面自由化により、自分が発電した電力がその後誰に買い取られ、どういうところに流れていくのかということを考えるようになる。発電側の意識が高くなる効果がある」と強調している(図2)。

photo 図2 Looopが行った調査結果。自然エネルギー発電を推進する電力会社が選べることを知っている人が半分以上を占めているという(クリックで拡大)出典:Looop

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