鴻海がシャープのエネルギー事業再建を明言、最初の一手は住宅向け蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2016年05月26日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

ラインアップ拡充でレイアウトの自由度も

 今回発表したNQ-256AFによって、BLACKSOLARシリーズのモジュールラインアップは4種類になった。種類が増えたことで組み合わせのパターンが増え、住宅屋根に載せられる容量を平均5%程度アップできるという(図3)。

図3 切妻/寄棟のどちらのタイプの屋根にも対応する(クリックで拡大)出典:シャープ

拡大するZEH市場を開拓へ

 日本全体のさまざまな分野でさらなる省エネが求められる中、政府が住宅市場において普及を後押ししているのが年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロになるZEHだ。政府は住宅のZEH化に1棟あたり125万円の補助金を給付している。

会見に登壇した五角氏。手にしているのはBLACKSOLARのセル

 既設住宅のZEH化には、まず断熱性能などの強化により一次エネルギー消費量を20%以上削減する必要がある。その上で残りの必要な電力を太陽光発電などによる「創エネ」でまかなうことで、「ネット・ゼロ・エネルギー」を実現する仕組みだ。

 シャープはこうしたZEHの普及に伴う住宅用太陽光発電の設置需要を、高い変換効率を特徴とするBLACKSOLARシリーズで取り込んでいきたい考えだ。シャープ エネルギーソリューションカンパニー ソーラーシステム事業部 事業部長代理 商品企画部長の五角博純氏は「現在日本の住宅1棟当たりに設置されている太陽光発電設備の容量の平均は4.45kW(キロワット)。しかし、ZEH化住宅には平均5.29kWの容量が必要とされており、高効率な太陽光パネルのニーズは高まると考えている」と述べる。

 同時に太陽光パネルだけを販売するのではなく、住宅向け蓄電池やHEMSなどを組み合わせることで、「製品の単体売り」ではなくエネルギーソリューションとして提案を進めていく計画だ(図4)。

図4 複数の製品を組み合わせ、ソリューションとしての提案を進める(クリックで拡大)出典:シャープ

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