太陽光発電は終わらない、JPEAが示す3つの成長エンジン太陽光(2/3 ページ)

» 2016年06月22日 09時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

太陽光発電が成長を持続する3つの成長エンジン

 太陽光発電が成長を持続する3つの成長エンジンとして亀田氏が述べているのが「改正FIT法」と「電力システム改革」「パリ協定(COP21)」の3つである。

改正FIT法による未稼働案件の対策

 1つ目が改正FIT法である。改正FIT法は2016年5月に国会で成立し2017年4月から施行される。特徴としてFIT認定を受けた事業者の未稼働案件の取り締まりの強化がある。

 FIT開始後は、FIT認定取得のための申し込みが殺到。FIT開始前の2012年6月までの累積導入量が4960メガワット(MW)だったのに対し、2012年7月〜2016年2月までの累積認定量は7万9302MWに達した。しかし、実際の導入量は2万6454MWにとどまっており、5万3000MWが「認定は受けているものの稼働していない」という滞留案件となっているのだ(図4)。

photo 図4 FIT施行後の認定量と導入量の比較(クリックで拡大)出典:太陽光発電協会

 亀田氏は「FIT施行により認定量を見ると、太陽光発電システムをはじめとした再生可能エネルギーには約80ギガワット(GW=1000MW)のポテンシャルがあるということは示せたと思う。しかし、実際には今後事業化のめどが立たない未稼働案件が数多く存在しており、その未稼働案件のために新たな太陽光発電設備の認定が取得できないなどの問題を抱えている。これらが整理されることにより、市場の健全な成長が期待できるようになる」と改正FIT法への意義を訴える。

電力システム改革による卸売市場の活性化

 2つ目が電力システム改革だ。電力システム改革にはさまざまな取り組みがあるが、亀田氏は特に発送電分離を見据えた、電力の買い取り責任事業者の移行を挙げている。これも改正FIT法によるものだが、今回の制度改正で、電力を買い取る義務が従来の小売電気事業者から送配電事業者へ移行することになる(関連記事)。送配電事業者は電力会社の送配電部門だけに認められるため、地域ごとに買取義務と接続義務が電力会社に一本化されるという利点がある。

 送配電事業者に買い取り義務を移管することで、買い取った電力を卸電力取引市場に引き渡すケースが増えることが想定される。これにより卸電力取引市場での電力の取引量が増大し、再生可能エネルギーなどで生まれる発電変動の需給調整を、卸電力取引市場での電力で賄うことができる可能性が生まれる。そのため接続制限の幅が広がり、新たに太陽光発電設備を導入する余地を広げることができるという仕組みだ。

 亀田氏は「電力の買い取り義務を送配電事業者に担わせる方法は既にドイツで取り入れられており成功しているモデルである。ドイツでは全電力の内3割以上を再生可能エネルギーで賄っているにもかかわらず接続制限は1%以下だといわれている。日本でもまだまだやり方次第で、再生可能エネルギーを受け入れる余地は増やせるはずだ」と述べる。

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