電力自由化の切り替え総数は約240万件、高圧以上の切り替えが加速する副産物も:法制度・規制(2/2 ページ)
これらの新たな登録小売電気事業者からの電力小売りに切り替えた、スイッチングの申し込み状況を見ると、2016年6月3日時点で約106万件となっている。一方で旧一般電気事業者(大手電力会社)の自社内の契約の切り替えの申込件数は約135万件となっている。合計の契約切り替えの申込件数は約241万件となった(図4)。
図4 スイッチングの申し込み状況(クリックで拡大)出典:電力・ガス取引監視等委員会
これらの低圧向けのスイッチングは当初期待されたほどは進んでいないということがいえるかもしれないが、電力小売全面自由化の副産物として、新電力比率が急増しているのが特別高圧や高圧部門である。高圧分野は2000年に部分的に自由化されたものの、新電力の比率は3〜4%程度にとどまっていたが、2016年3月には9%にまで比率を高めている。さらに、供給実績のある事業者も大幅に増えており、2016年3月には前年比60社増の135社となっている(図5)。
図5 特別高圧・高圧部門における新電力の動向(クリックで拡大)出典:電力・ガス取引監視等委員会
電力小売が全面的に自由化されたことにより、テレビCMなどを通じ家庭向けなどで認知が広がったことから、様子見の状態だった特別高圧や高圧において、真剣に検討する動きが強まったと考えれている。
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