これまでにもコストが大きく下がった太陽電池モジュールやインバータに比べて、周辺装置や施工、さらに導入に必要な手続きを含むソフトウエア関連のコストはさほど低下していない。今後はこうした周辺コストが急速に下がっていく。
2015年の時点では太陽光発電システムの導入コストのうち約6割を周辺装置などが占めていた。このコストが2025年までに66%も低下する見込みだ(図4)。ケーブルや架台などのハードウエアが26%、施工が16%、ソフトウエアが24%の削減効果をもたらす。
図4 周辺装置などのコストダウン(全世界平均、画像をクリックすると拡大)。コスト低下の内訳は左から順に、周辺装置(ケーブル、架台、系統接続・監視制御)、施工(電気工事、検査、機械工事)、ソフトウエア(導入支援・認可取得・システム設計、権利取得・プロジェクト管理など)。単位:米ドル/キロワット(2015年)。出典:IRENA 2016それぞれの内訳を見ると、ハードウエアでは架台のほかに、系統接続・監視制御・安全対策に必要な装置のコストダウンが大きい。施工面では架台の設置作業など機械工事のコストダウンが期待できる。ソフトウエア関連では発電所の建設に必要な権利取得や資金調達などの管理コストが大幅に下がる見通しだ。いずれの分野でも技術やノウハウの改善に加えて、建設プロジェクトの増加によるスケールメリットの効果を見込める。
2025年に向けて周辺コストの低下が期待できる中で、現状は国による差が極めて大きい。周辺コストを主要な国ごとに比較すると、最も安い中国やドイツと最も高い日本では3倍以上の差がついている(図5)。中国とドイツでは1kWあたり500米ドル(約6万円)で済むのに対して、日本では1700米ドル(約20万円)もかかる。
図5 主要国の周辺コスト比較(2015年、画像をクリックすると拡大)。コストの内訳は上から順に、ハードウエア(ケーブル、系統接続、監視制御、架台、安全対策)、施工(電気工事、検査、機械工事)、ソフトウエア(権利取得、資金調達、導入支援、プロジェクト管理、認可取得、システム設計)。単位:米ドル/キロワット(2015年)。出典:IRENA 2016日本はハードウエア・施工・ソフトウエアのいずれも高いが、他国と比べて特に割高なのはソフトウエアのコストだ。人件費の高さも影響している。今後は全世界でソフトウエアのコストダウンが期待できることから、日本でも先進国の事例を参考にプロジェクト管理などの効率化に取り組めば、太陽光発電の導入コストは格段に下がっていく。
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