水素社会に向けた先進的な取り組みを進めている福岡市では、既にこうした下水汚泥から取り出した水素の活用がはじまっている。国土交通省の「下水道革新的技術実証事業(B-DASH プロジェクト)」のもと、2014〜2015年度に福岡市の中心部に近い「中部水処理センター」を使って実証事業を実施した。
同事業は福岡市が「水素リーダー都市プロジェクト」として、九州大学と三菱化工機、豊田通商と共同で実施。下水汚泥から発生するバイオガスを分離膜に通してメタンとCO2に分け、そのメタンと水蒸気を反応させる「水蒸気改質」で水素を製造している(図2)。
1日に下水汚泥から発生するバイオガス2400立方メートルから、3300立方メートルの水素を製造する能力がある。この水素を燃料電池車に供給できるように、中部水処理センターの中に水素ステーションも建設しており、2015年11月からは一般の燃料電池車への水素供給も可能になっている。
こうした下水汚泥を活用した水素製造は、埼玉県や栃木県などの他地域でも取り組まれている(関連記事)。国土交通省が行った試算では、もし日本全国にある約2100カ所の下水処理場を活用できれば、年間1億3000万立方メートルの水素を製造できるという。今回、国土交通省の調査にもとづくガイドラインがまとまれば、他の自治体が実施を検討する際にも役立つだろう。
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CO2フリーの水素を下水から作る、福岡市で燃料電池車へ供給開始Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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