家庭向けの低圧の場合でも、需要家に対する訴求点を明確にするうえで、見積もり業務は必要である。ただしWEBサイトにサンプルの費用を掲載する、あるいは月間の使用量を入力するだけで簡易的に年間の費用を比較できるようにする、などの方式をとる事業者が多い。外部の料金比較サイトと連携して済ませる動きもある。
低圧の見積もり業務は受付方式が対面なのか、WEBやコールセンターを使うのか、によって異なる。それぞれ簡易的な見積もりで済ませることも可能であり、事業者の方針で対応方法が大きく違ってくる(図2)。
現在の小売電気事業の制度では、本人確認書類の提出と本人同意をもって、需要家の過去13カ月分の使用値を取得できる。この数字を利用して1年間の見積もりを行い、現行の一般電気事業者(電力会社)との料金比較が可能となる。
ただし精緻に見積もるとはいっても、過去のデータに基づく参考値であり、スイッチング後の使用量が見積もりどおりに推移するとは限らない。受付段階の業務コストを最小に抑えたい事業者にとって、どこまで見積もり業務に対応するかは重要な判断になる。料金を比較する相手の会社も電力会社から新規参入事業者まで広がっていくため、各社の動きを追随するコストや運用面を十分に考えておく必要がある。
連載第9回:「小売電気事業者の販売チャネル、代理店・取次店の業務をどう支援するか」
電力の小売事業を支える顧客管理業務、契約申込から料金計算まで幅広い
小売電気事業者のサービス戦略、低価格や割引だけでは長続きしない
小売電気事業者のチャネル戦略、対面・訪問・ネット販売も有効Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10