さらに研究グループは光電子分光の時間分解測定も実施した。するとヘテロ構造にすることで200倍もの高い光学応答性を示すようになり、さらにヘテロ構造の電子構造変化に対応して光起電力とその緩和時間も変わることが分かった(図2)。
図2 SrRuO3/SrTiO3ヘテロ構造の時間分解光電子分光の結果・(a)STO基板、(b)SRO(2層)/STO、(c)SRO(4層)/STO。SRO膜の存在によってt=0で照射した紫外線パルス光に対して光起電力(SPVshift)が発生し、時間とともに緩和している。 出典:東京大学研究グループでは、こうして得られた結果をもとに、数値シミュレーションを実施したところ、この光学応答の変化に必要な光キャリアの量やダイナミクスを明らかにすることができたとしている。
今回の研究によって、SrRuO3/SrTiO3のヘテロ構造において光起電力が発生することが分かり、さらにその仕組みも明らかになった。研究グループは「この成果を活用することで光機能に合わせたヘテロ構造を速やかに作製できる。また、SrTiO3は紫外線を吸収する半導体材料であり、SrRuO3層も原子レベルに十分に薄いため、このヘテロ構造は人の目には見えない。そのため紫外線を防ぎ、電力を作れる窓など、新しい機能性デバイスにも今回の成果が生かされると期待される」としている。
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