前回の報告では9月5日の時点で4〜6月分の使用量を確定できない件数が5754件あった。今回は新たに7〜9月分が加わって、9月20日の時点では3000件以上も増えている(図4)。このペースで使用量を確定できないケースが増えてしまうと、10月中に累計で1万件を突破する可能性があり、市場の混乱は日を追って拡大する事態になっていく。
データの通知遅延がおおむね解消されたにもかかわらず、いまだに使用量を確定できない問題が続いている。その理由は東京電力PGが運営する託送業務システムに重大な不具合が残っているためだ。需要家ごとのメーターの検針期間を判断する処理に不具合が発生していて、月間の使用量を正しく算出できなくなっている。
これまでにデータの通知遅延の問題に対しては大量の人員を投入して手作業で解消してきたが、使用量を確定できない問題はシステムの不具合が直らない限り解決しない。東京電力PGは年内にシステムを改修するめどを立てているものの、最新の報告でも改修の進捗状況に触れておらず、来年にずれ込む懸念もある。もしそうなった場合には、使用量を確定できない件数はさらに増えてしまう。
需要家の使用量データに加えて、発電データでも通知の遅延が続いていた。前回報告の9月5日の時点では7223件にのぼったが、最新の9月20日には8月分の1件だけに減少している(図5)。発電データの帳票を作成する処理の一部に不具合があったが、9月16日にシステムの改修を完了したことで手作業の負担を軽減できた。
現在も未確定の1件は発電設備に多数のメーターが付いていて、発電量の計算に標準外の作業を必要とすることが理由だという。発電量を確定できないまま協議の対象になった。東京電力PGが発電事業者と協議する初めてのケースである。この発電設備は出力が大きいため、発電量の未確定によって売電収入が停滞すると事業者にとっては痛手だ。
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