リチウムイオンが急成長、蓄電池市場は2025年に4.7倍に蓄電・発電機器(2/3 ページ)

» 2017年05月10日 07時50分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

非住宅用は最大の7.1倍に

 住宅用、非住宅用、系統用のうち、2025年までに最も市場が拡大すると予測しているのが非住宅用の二次電池市場だ。2016年の市場規模は215億円だが、2025年には7.1倍の1533億円に拡大すると予測している。

非住宅用電力貯蔵システム向け二次電池の世界市場(クリックで拡大) 出典:富士経済

 主な用途としては、商用電源や発電機と連携してオフピーク時に蓄電し、ピーク負荷時に放電するピークシフトやピークカット、非常用電源、自家消費用再生可能エネルギーの負荷平準化用途などを挙げている。

 非住宅用では特に急激な価格低下が進むLiBの需要が拡大している。今後北米・中南米を中心に電力需要のピークに応じた料金が加算されるデマンドチャージ対策のピークカット用途として、採用数が増加していく見込みだ。2020年以降は各エリアのデマンドレスポンスやVPP用電源としての需要が大きく拡大すると予測した。

 また、出力規模や出力時間によってはPbやNAS電池、レドックスフロー電池の需要も高まるが、Pbについては今後はLiBへの置き換えが進む見込みだ。NAS電池は日本を中心に出力1〜2MW級の大型需要家で採用されており、今後さらに低コスト化が進むことで他エリアでも本格的な導入が見込まれる。レドックスフロー電池は日本では出力500kW〜1MW級の中・大型需要家に、北米・中南米などでは出力100〜500kW級の小・中型需要家への導入が進むとした。

 エリア別では現状、日本や北米・中南米の需要が大きい。日本はグリーンニューディール基金を背景に、非常用電源用途でLiBの採用が多いが、基金の終了に伴い同用途での採用は減る見込みとしている。北米・中南米では、特に米国でエネルギーマネジメントシステム(EMS)やデマンドレスポンスに対応するソフトウェアを搭載した電力貯蔵システムの利用がピークカット用途で広がっており、LiBを中心に需要が増加傾向にある。

 今後注目されるのはアジアで、非常用電源用途やピークカット用途(特に豪州)での採用増加によりLiBを中心に需要増加が予想される。今後は各エリアで補助政策の後押しにより、自家消費用再生可能エネルギーシステムの負荷平準化用途やそれを利用したピークカット用途での需要が増加するとした。

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