住宅間で電力を融通できる新技術、村田製とソニーCSLが共同開発を明らかに電力供給サービス

村田製作所とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、「スマートエネルギーWeek 2018」で、両社が共同で開発を行う地域分散型の電力融通システムについて紹介した。

» 2018年03月02日 07時00分 公開
[松本貴志スマートジャパン]

村田のハード技術とソニーCSLのソフト技術の融合

 村田製作所とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)は、「スマートエネルギーWeek 2018」(2018年2月28日〜3月2日、東京ビッグサイト)で、両社が共同で研究開発を推進する地域分散型および需要家間での電力融通システムについて紹介した。

P2P電力融通のイメージ 出典:ソニーコンピュータサイエンス研究所

 国内でも家庭に太陽光発電などの発電装置や蓄電池が普及しはじめ、これらの分散電源を統合制御して、全体を1つの発電所のようにコントロールするバーチャルパワープラント(VPP)の構築実証が進んでいる。

 村田製作所とソニーCSLが開発している電力融通システムは、こうした各家庭の分散電源の電力を、任意の相手と直接取り引きできるようにするというもの。現在の電力会社から系統を経て需要家に電力が供給される「トップダウン型」から、近隣住民など地域の需要家間で電力を融通し合う「ストック型」の送電を行えるようにする狙いだ。

 電力融通システムには、ソニーCLSの1対1の双方向個人電力取引(P2P電力融通)技術を活用。これに村田製作所が持つ外部と通信可能な蓄電池システムを組み合わせている。同社の蓄電池の高出力・高サイクル特性を生かすことで、電力取引で発生する1日数サイクルの充放電にも、寿命低下を抑えつつ高速に対応が可能になったとする。

沖縄県で実証

 ソニーCSLは2014年12月からこのシステムの実証を沖縄県で実施している。19棟の住宅間を350V(ボルト)の直流電力線および通信線で接続。各住宅に設置した蓄電池システムを含むノードには共通のソフトウェアが組み込まれており、協調動作を行うことでマイクログリッドを形成できるようにしている。

※当初、「両社は2014年12月からこのシステムの実証を沖縄県で実施している。」と記載していましたが、「ソニーCSLは2014年12月からこのシステムの実証を沖縄県で実施している。」の誤りでした。お詫びして訂正いたします。

実証のイメージ 出典:ソニーコンピュータサイエンス研究所

 このマイクログリッドには、「グリッドマスター」と呼ばれるノードが設定され、各ノード間で電力融通の必要があると判断された場合には、グリッドマスターがマイクログリッドを制御することで、物理的な電力融通を行う。グリッドマスターに障害が発生した場合でも、他のノードがグリッドマスターの役割を引き継ぐことで電力融通を継続できるという。また、既存の系統ではなく専用のマイクログリッドを採用しているため、既存系統網に依存せず、耐災害性も高いという。

 このシステムを導入することで、系統のルールや料金に縛られずコミュニティー内で電力取引が可能となることや、島しょ部など系統調整力が不足しやすい地域への再生可能エネルギー導入拡大にも貢献できるという。ソニーCSLの担当者は、村田製作所と進める同システムの開発を発表するのは今回が初めてとし、今後については「商用化の時期は未定だが、早期の実用化に向けて今後も引き続き村田製作所と開発を進めていく方針」と述べている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.