岐阜県郡上市で農業用水路を活用した小水力発電所が稼働。80メートルの有効落差を活用し、年間に165世帯分の電力を発電する。
豊富な水資源を生かした小水力発電所の導入を進めている岐阜県。新たに2018年3月6日から郡上市(ぐじょうし)白鳥町で「阿多岐(あたぎ)清流発電所」が稼働を開始した。農業用水路を活用した発電所で、売電収益は市内の農業用施設の維持管理費に活用。農村地域の振興に生かすという。
発電所の水車は「横軸ペルトン水車」を採用し、最大出力は102kW(キロワット)。阿多岐川から取水し、80.0メートルの有効落差を利用して発電する。年間発電量は一般家庭165世帯分の年間使用電力量に相当する59.4万kWh(キロワット時)を見込んでいる。発電した電力は「再生可能エネルギーの固定買取価格制度(FIT)」で全量売電を行い、収益を農道や用水路の維持管理費に充てる。
総事業費は2億8800万円で、国が50%、残りを岐阜県と郡上市が25%ずつ負担した。施設の整備は岐阜県が担当し、郡上市が運営管理を行う。
郡上市は水資源が豊富な上、急峻(しゅん)な山地に囲まれて標高差が大きいなど、小水力発電に適した環境にある。同市はこうした資源を生かすべく、2014〜2017年度にかけて、市内の農業設備を活用した小水力発電所の整備事業を推進している。阿多岐清流発電所は「石徹白清流発電所」と「石徹白番場清流発電所」に続き、市内で売電を行う3カ所目の小水力発電所になる。
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