電力・ガス自由化、認知広がるも“理解”は進まず――電通調査電力供給サービス(1/2 ページ)

消費者への認知は進むも、内容の理解については伸び悩みが続く――。電通が実施した調査から、電力・ガス自由化に対する消費者の理解状況に関する課題が見えてきた。

» 2018年04月09日 07時00分 公開
[陰山遼将スマートジャパン]

 電力の小売り全面自由化から2年、ガス自由化から1年となった2018年4月。2つのエネルギー自由化に対する消費者への認知は進むも、内容の理解については伸び悩みが続く――。電通が2018年3月に公表した「第6回エネルギー自由化に関する生活者意識調査」から、こうした状況が見えてきた。

認知進むも「理解」に課題

 電力自由化に対する認知調査の結果は、「内容まで知っている」は25.1%(前回24.6%)、「内容は分からないが、自由化されたことは確かに知っている」は51.7%(同52.3%)となった。「見聞きしたことがある」15.4%(同14.7%)を合わせると、全体の92.3%(同91.6%)が電力自由化を認知していることになる。

電力自由化の認知に関するアンケート結果 出典:電通

 ガス自由化についても同様の調査を行った結果、「内容まで知っている」は15.2%(前回16.1%)、「内容は分からないが、自由化されたことは確かに知っている」は39.7%(同41.7%)となり、「見聞きしたことがある」22.5%(同22.3%)を合わせた全体の認知度は77.4%(同80.1%)。電力自由化と比較すると、ガス自由化についてはまだ認知拡大の余地がありそうだ。

ガスの自由化の認知に関するアンケート結果 出典:電通

 認知は広がっているが、理解度についてはまだ課題がありそうだ。自由化を認知していると答えた回答者(認知計)のうち、「内容まで知っている」と回答した人の割合は電力で約27%、ガスで約20%となっている。

 加えて、今回の調査では前回の第5回調査に引き続き、電力・ガス自由化に関する基本知識に対する認知調査も行っている。「電力会社を変えても、新たに電線を引く必要はない」「(ガス販売に)ガス事業者以外では電力会社が参入している」といった基本的な13項目の内容について、知っていたか、そうでないかを聞いたものだ。

 その結果は、前回調査と比較するといずれの項目もわずかに「知っている」と答えた割合が向上しているものの、認知が6割を超えた項目は「住んでいる地域で提供・販売している電力・ガス会社であれば自由に選べる」のみだった。

 例えば先述した「電力会社を変えても、新たに電線を引く必要はない」という項目についての認知度は32.9%(前回32.0%)となっている。この他、「発電方式にこだわって電力会社を選択することも可能であること」は20.1%(前回19.8%)、「ガス会社を切り替える際に、特別な場合を除いて工事に費用はかからないこと」は19.2%(同19.0%)となっており、前回調査の結果と比較しても、理解があまり進んでいないことがうかがえる。

電力・ガス自由化の基本的な知識に関する認知調査の結果 出典:電通
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